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【ヨミ】チテキザイサンケン 知的財産権

知的創造活動を行った人を保護するために認められた権利のことで、「知的所有権」とも呼ばれます。特許権、実用新案権、意匠権のほか、商品名やブランドなどの独立性を守る商標権、小説や音楽などの作品に対する著作権なども含まれます。
(2004/12/16掲載)

知的財産権のケーススタディ

医薬、化学、電機などを中心に
発明の報奨制度を拡充する動き

知的財産権の中で最も関心を集めているのは、社員の発明で特許を取得して得た利益を、会社がどう配分すべきか、という問題です。従来、日本の企業風土の中では「社員の発明は会社の財産」といった意識が根強く、社員の画期的な発明による会社への貢献は、過小評価される傾向がありました。しかし近年の知的財産権の価値に対する意識の高まりを背景に、「正当な対価」を求める訴訟が相次いでいます。中でも元社員の青色発光ダイオードという発明に対して、会社側に200億円にのぼる破格な報酬を支払うよう命じた今年1月の東京地裁の判決は、日本の産業界に大きな衝撃を与えました。

これまで発明の対価は会社が一方的に規則で定めるケースがほとんどでした。しかし来年1月から施行される改正特許法は、会社と社員の間で定めた規則を重視する条文を盛り込み、会社側に正当な対価の支払いを促す内容となっています。

これを受けて報奨制度を見直す企業も相次いでいます。医薬品最大手の武田薬品工業は、社員の発明に対する報酬の支給適用を、現在から10年遡及させた時点(1994年)に販売されていた商品にまで拡大するとともに、1商品につき年間3000万円だった報酬の上限もなくしました。2003年度は実績補償制度に基づき、のべ72名に合計9,385万円の実績補償金が支給されています。

また石油元売大手の新日本石油は、従来の制度になかった登録報奨と実績報奨の仕組みを採用、とくに有用な特許などについては、実績に応じて年間1億円を最高額とする実績報奨を毎年支払うという大幅な制度の改正に踏み切りました。このように医薬品、化学、電機メーカーなどを中心に、報奨制度を拡充して業績向上に寄与した発明に手厚く報いる姿勢を明確にする企業が増えています。

一方、OA機器大手のキヤノンは、役員、本部長、事業部長、開発センター所長など、技術に詳しい約60名のメンバーからなる「特許審査委員会」を設置、できる限り透明で公平な審査を行って報奨金額を決めるシステムを採り入れています。しかし報奨の金額をあまり大きくすると、共同して行うグループ活動に障害になるケースもあり得るとして、報奨金は必ずしも大きな金額にしていないとのことです。

ともあれ今後、知的財産権はますます重視されていくのは確実な情勢です。企業は、トラブルを防止し、訴訟リスクを回避するためにも、発明の対価などについての従来の社内規程や事務手順などを見直し、他社の動向や司法判断を鑑みつつ、慎重に対処することが望まれます。

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