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【ヨミ】キギョウイデンシ 企業遺伝子

長期にわたって企業の組織やそれを構成する人材に共有・継承され、暗黙の前提となっている価値観、信念、行動規範などの体系を「企業遺伝子」あるいは「企業DNA」と呼びます。企業にとっての遺伝子(DNA)とは、いわばその“企業らしさ”。個々の企業のあり方を決定づけ、持続的な競争優位の源泉となる組織文化のことです。(2011/6/13掲載)

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企業遺伝子のケーススタディ

環境変化に適応し、生き抜くために
競争優位を生み出す“わが社らしさ”

「短期的な成果や効率性を優先してリストラやアウトソーシングを推し進めた結果、創業以来のわが社の遺伝子が組織内でうまく継承されなくなり、企業としての成長にも陰りが見えてきた」――このように経営や人事の分野でも昨今、「企業遺伝子」「企業DNA」という言葉があたりまえのように使われています。

生物学でいう本来の遺伝子は、DNA(デオキシリボ核酸)の二重螺旋構造から成り、生物の形質を決定づけるなどの“遺伝情報”を司っています。その機能は、種を環境変化に適応させるために欠かせないものです。じつは企業人が遺伝子やDNAといった遺伝のメタファーを用いるようになった背景にも、この「環境変化への適応」という共通の目的意識があると考えられます。

企業を取り巻く市場環境の変化や競争は激しさを増し、組織にとっても個人にとっても生き残ること、そのために自らを絶えず進化させていくことが切実な課題となりました。職場環境も、雇用の柔軟化や合併・買収の増加に伴って驚くほど多様化が進んでいます。そうしたなかで“わが社らしさ”を再確認したい、自社の本当の強みや真の競争力の源泉を活かして環境変化を生き抜きたい、と考える企業や企業人が現れるのは必然でしょう。企業という“生物”が何代にもわたって生存していくために、市場という環境の変化にどう適応していくか――企業遺伝子や企業DNAという表現には、そうした発想が込められているのです。

企業遺伝子の継承が重要視されるのは、それが市場環境において持続的な競争優位性を生み出すためです。企業遺伝子がもたらす競争優位性は、他社によって容易に真似されることがありません。今日、商品・サービスの特徴や価格による競争優位は比較的短期間で失われてしまいますが、企業遺伝子は根付かせるのに長い年月と継続的な取り組みの実績を必要とするため、競合他社がそれを取り入れて、すぐさま自社の強みにしようとしてもうまくいかないのです。

たとえばホンダや花王、リクルートといった企業には、創業から現在に至るまで、たゆまぬベンチャー精神がそのDNAとして脈々と受け継がれ、社是・社訓のかたちで明文化もされています。しかし言うは易しで、他社がそのキャッチフレーズだけを取り入れても、肝心のベンチャー精神は移植できません。また各社が、ベンチャー精神を継承するために施行している提案制度や評価のしくみなどをそのまま移植したとしても、活気ある創造的な組織に生まれ変われるとはかぎらないのです。長年そうした取り組みを継続し、多くの新製品や新規事業を生み出してきたという実績、その実績がもたらす社員の意欲や緊張感、より本質に迫ろうとする思考技術やコミュニケーションの習慣など――歴史と経験の中で組織が学習を積み重ねた結果として、企業遺伝子は形成されるものだからです。

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