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【ヨミ】リーダーシップパイプライン リーダーシップ・パイプライン

「リーダーシップ・パイプライン」とは、会社の変革・発展を導くリーダーを組織全体で体系的に育成しようとする考え方です。燃料がパイプラインを流れるように、ボトムからトップまで組織の各階層・世代間でとぎれることなく、連綿とリーダーを輩出するためのしくみづくりを指し、ゼネラル・エレクトリック(GE)をはじめ、ディズニー、メルクなど、人材育成に力を注ぐ米国の先進企業が採用していることで知られます。
(2010/11/8掲載)

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リーダーシップ・パイプラインのケーススタディ

“リーダーを育むリーダー”の連鎖をつくる
「7・2・1の法則」に従って経験と薫陶を

企業の創業者や“中興の祖”と呼ばれる経営者はほぼ例外なく、カリスマ的なリーダーシップの持ち主です。しかし、そうした強力なリーダーが一人存在するだけでは、創業者が亡くなったときや、中興の祖がリタイアしたとき、企業の成長はたちまち行き詰まり、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)さえ危うくなります。事業分野を問わず、すべての組織階層でリーダーシップが醸成され、次代の、次々代の……とトップ候補がたえず送り出されるリーダーの補給線――リーダーシップ・パイプラインの構築が求められるゆえんです。

優れたリーダーを、社内から安定的に“調達”するにはどうすればいいのか。「リーダーシップは生まれながらの資質であり、それを持つ人材は放っておいても自然と頭角を現すものだ」と考える人も少なくないでしょう。しかし変化へのスピーディーな対応が求められる現在のビジネス環境では、人が育つのを気長に待つ余裕はありません。GEの前会長兼CEOのジャック・ウェルチ氏は、「われわれが経営しているのは、優秀なリーダーを育て上げるための人材工場なのだ」と断言しているほどです。

ではリーダーを、誰が、どう育て上げればいいのか。リーダーシップ・パイプラインの概念に詳しい神戸大学の金井壽宏教授は、「マネジャー(管理者)は人事部でも教育できるが、リーダー(指導者)、とりわけ変革型のリーダーは実際に変革を起こした人物にしか育てられない」と指摘します。たとえば最高経営責任者(CEO)が革新性にすぐれた事業部長クラスのジェネラルマネジャー(GM)を育て、GMが部長クラスを、部長が課長クラスを、課長が現場の指揮官を育てるという構図――金井教授によれば、こうした組織内での“リーダーを育むリーダー”の連鎖こそが「リーダーシップ・パイプライン」にほかなりません。現に先述のウェルチ氏は、どんなに忙しくても週1回は社内研修所の教壇に立ち、自ら経営幹部候補を指導していました。そして彼の薫陶を直接受けたリーダーたちもそれぞれの事業分野で、より若い世代のリーダーを育てることに心血を注いだのです。トップ以下すべてのレベルのリーダーが、「次のリーダーを育てること」を自らの最優先課題と心得なければ、リーダーシップ・パイプライン開発の成功はあり得ないということです。

米ロミンガー社の行った調査で、すぐれた経営リーダーたちに、リーダーシップを発揮できるようになるまでにどのような出来事が有益だったかを聞いたところ、7割が仕事上の経験、2割が薫陶(上司や顧客、取引先の経営者からの影響)、研修やセミナーが占めるウェートは1割程度でした。「リーダーの育成に熱心な米国企業なら、どこでもこの“7・2・1”という経験則を耳にする」と、金井教授は言います。リーダーの育成に関しては、研修やトレーニングをどう設計するか以上に、誰の薫陶の下に、どのような実地の経験を積ませるのかが、重要な課題として注目され始めているようです。

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