企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】セイゾウギョウハケンノニセンキュウネンモンダイ 製造業派遣の2009年問題

現在、労働者派遣法で定められている製造業への労働者派遣の契約期間は最長で3年。2009年中には、この派遣労働者の契約が多くの製造現場でいっせいに期限切れを迎えます。2008年後半からの経済不況とも相まって、派遣労働者の雇用の不安定化が進むなど、さまざまな混乱が予想されます。
(2009/1/19掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

製造業派遣の2009年問題のケーススタディ

契約期限切れで人手不足どころか雇用縮小
クーリング後の“飛び石”派遣も違法

実態は「派遣」なのに、雇用期限や安全管理責任のない「請負」を装って契約する――いわゆる「偽装請負」が発覚し、社会問題化した2006年半ば以降、日本の製造現場では多くの企業が請負から派遣へ、雇用形態の切り替えを進めました。製造業への労働者派遣は04年3月に1年間の期限付きで解禁されましたが、その後の法改正で07年3月から契約期限が最長3年まで延長されることが決定。この期間延長も見越して、請負から派遣へのシフトが加速したといわれています。

06年に契約を結んだ大量の派遣労働者が09年中に3年の契約期間を満了するとどうなるのか。企業が同じ労働者を同じ業務で雇い続けたい場合は、(1)3ヵ月以上の契約解除期間(クーリング期間)を置いた後、再び派遣契約を結ぶ(2)派遣から請負に雇用形態を変える(3)正社員や期間社員として直接雇用する――の3つの選択肢があります。08年前半までは大手メーカーを中心に(3)、つまり直接雇用に切り替えようという動きがさかんでした。(2)は偽装請負を疑われかねず、(1)ではクーリング期間中に人手不足が生じ、製造現場が機能不全に陥ってしまう――つまり「製造業派遣の2009年問題」は、当初は深刻な“雇用不足”をもたらす問題として懸念されていたのです。

現に、キヤノンは09年問題への対応として、07年末にグループ全体で約1万2000人いた工場の派遣社員を直接雇用に切り替えて、人員を確保する方針を表明、08年10月末時点では派遣としての契約を約650人にまで縮小していました。マツダやコマツなども同様に、直接雇用への切り替えを進めていました。ところが08年後半の景気の急落で、事態は一変。多くのメーカーが減産、人員削減に転じたため、09年中に期限切れになる派遣労働者の契約も、直接雇用どころか、そのまま“雇い止め”になる見通しが強まっています。つい最近まで人手不足への懸念でメーカーを悩ませていた「2009年問題」が、実質的な雇用の調整弁に変わってしまったのですから、皮肉というほかありません

また、正社員は難しいものの、クーリング期間経過後に再び派遣として受け入れたいという選択肢(1)の対応も現実にはとりづらい状況にあります。厚生労働省が08年9月に出した通達で、労働者派遣法で認められているはずのクーリング後の再派遣に対し、「派遣法の趣旨に反する」との見解を示したためです。とくにクーリング期間中だけ直接雇い入れて3ヵ月が過ぎたら再び派遣契約に戻す、いわゆる“飛び石”派遣は行政指導の対象となる可能性が高いので注意が必要です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

労働契約申込みみなし制度
「労働契約申込みみなし制度」とは、派遣先企業が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点から、派遣先が派遣労働者に対して直接雇用を申し込んだものとみなす制度のことで、「みなし雇用制度」ともいわれます。申込みの実体がなくても、自動的に派遣先が派遣労働者に対して労働契約の...
紹介予定派遣
労働者派遣事業と職業紹介事業を組み合わせたもので、派遣先と労働者との雇用関係斡旋(職業紹介)を予定した派遣です。派遣期間中に派遣先企業は労働者の能力を見きわめ、労働者は自分に合う仕事かどうかを判断して就職できるメリットがあります。
グループ内派遣
「グループ内派遣」とは、人件費の節約などを目的に、大手企業が人材派遣会社を子会社として設立し、同社が親会社およびそのグループ企業各社に労働者派遣を行うことをいいます。2012年10月に施行された改正労働者派遣法(同年4月に成立)が、派遣会社に対して、系列企業への派遣割合を8割以下に抑えることを義務...

関連する記事

派遣の終了・更新・解除の実務
スタッフの雇用安定措置にかかわる法律を把握した上で、講ずべき対応とは
2016/10/31掲載よくわかる講座
人材派遣の「現状」
進化・拡大の勢いは止まらず――。数字から読み解く人材派遣市場の動向
2016/10/31掲載よくわかる講座
派遣開始と就業の実務
実際に派遣労働者を受け入れる際の実務と注意点をまとめた
2016/10/31掲載よくわかる講座

関連するQ&A

常用型派遣について
いつも利用させていただいております。 派遣には、登録型派遣と常用型派遣があるかと思いますが、常用型派遣は派遣元会社と無期雇用あるいは有期雇用で契約し、派遣先へ派遣をおこなうことになるかと思います。 この場合、派遣元会社で正社員(無期雇用者)を派遣先へ派遣することは、法的に問題となるのでしょうか。...
派遣者正規雇用について
派遣者正規雇用に必要な派遣元と派遣先の必要な書類
特定派遣について
特定派遣について判らない点があります。1.派遣期間は、一般と同様なのか。2.上記に関して、派遣元で直雇用(契約・正社員)されていても同じなのか。以上2点の回答お願いします。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。
健康経営を戦略的に推進するステップとは?取り組み事例と外部サービスの選び方

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


健康経営の実践に必要なステップ、外部サービスを選ぶ際のポイント

健康経営を戦略的に推進するための必要なステップや取り組み事例、外部サービスを選ぶ際のポイントをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


なぜヤマシンフィルタは“急成長”を遂げたのか 組織変革を実現する「評価制度」と「タレントマネジメント」

なぜヤマシンフィルタは“急成長”を遂げたのか 組織変革を実現する「評価制度」と「タレントマネジメント」

成長過程にある企業では、現状に合う組織づくりや人の育成が後追いになって...