次世代リーダー育成
次世代リーダー育成とは?
次代の経営を担うリーダー人材を、企業が組織的・戦略的に開発する取り組み。候補者をより早い段階でスクリーニング(絞り込み)し、教育する「選抜型育成」を指します。
リーダーは自然に育つのではなく、育てるもの
トップのコミットメントが成功の条件
「リーダーシップは天与の資質であって、教えて身につくものではない」「トップに立つべき人材はもともと才能に恵まれていて、競争の中から自然と頭角を表してくる」――既存のリーダーシップ論には、こうした“適者生存”の発想が根強く存在します。しかし“生存者”が常に“最適者”であるとは限らない、というのもまた真実でしょう。変化や競争が激しい現在の経営環境においては、過去の勝者の資質や積み重ねてきた実績、スキルなどが、そのまま今後も通用する保証はないからです。
まして昨今は、次世代リーダー候補にあたるミドル層(30〜40歳代の課長・非管理職上位クラス)のマネジメントに関する能力不足が、バブル崩壊後の長期不況による教育投資の減少や人員構成の歪みの“ツケ”として急速に顕在化。事業の継続や拡大、世代交代のボトルネックとなっているケースも少なくありません。
こうした中、有望な人材の台頭を待つだけの姿勢を改め、早い段階で候補者を選抜して教育する、より積極的な「次世代リーダー育成」に着手する企業が増えています。ソニーでは、2000年にグローバルリーダーの育成・啓発に特化した企業内大学「ソニー・ユニバーシティ」を設立。各国・各地域の事業から人材を選抜し、研修を行っています。
産業能率大学総合研究所が2006年に、従業員300人超の日本企業を対象に行った調査によると、「次世代リーダーの選抜型育成」をすでに実施している企業は約4割。実施予定と回答した企業をあわせると全体の約6割にのぼることがわかりました。また実施企業は1999年を境に急速に増加しています。選抜の対象層は部長、課長クラスが中心。教育にかける期間は6ヵ月〜1年が最も多く、活動予算の平均額は2,077万円でした。同研究所は調査の結果、選抜型育成の効果を高めるためには、「トップの強力なコミットメントを獲得すること」「経営を担う人材を想定した育成を行うこと」「継続的に取り組み、一定額の投資を行うこと」「意図的な経験の付与によって育成すること」などが必要条件になると分析しています。
個人の資質が企業活動に及ぼす影響は、当然のことながら新人よりも係長、係長よりも部課長と、職位が上がるにつれて大きくなります。にもかかわらず、会社が育成にかけるエネルギーや投資額は若手社員のほうがはるかに大きい――いまだ多くの日本企業に残るこのネジレ構造を、早急に見直すべきではないでしょうか。
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