ゆとり社員
ゆとり社員とは?
ゆとりを重視した学習指導要領や学校週5日制など、いわゆる「ゆとり教育」の影響を受けた世代の若手社員、新入社員を「ゆとり社員」と呼びます。
競争体験がなく、打たれ弱い世代
育成のカギは経営主導の手厚いサポート
一般にゆとり教育の始まりは、小・中学校の学習指導要領が内容、授業時間とも大幅に削減された2002年度からとされています。この年に中学3年生だった1987年度生まれはとくに「ゆとり第一世代」と呼ばれます。08年現在、この第一世代は21歳を迎え、大学生なら就職活動を本格化させる時期。そして2010年春には「ゆとり社員」として企業社会にデビューすることになるのです。もっとも、ゆとり教育の影響は彼らより1〜2歳年長にまで及んでいるため、実際には近年の超売り手市場を背景に、すでに大量のゆとり世代が採用されていることになります。
そもそもなぜ「ゆとり世代」「ゆとり社員」とひと括りにされるのでしょうか。原因はこの世代特有の“扱いにくさ”にあります。それがあらゆる職場において、「最近の若者は…」というような、たんなるジェネレーションギャップでは済ませられない摩擦や混乱を引き起こしています。
ゆとり世代は豊かなバブル時代に幼少期を過ごし、物心ついたときからつねにサービスの受け手であった世代。ゆとり教育で育ち、受験や就職でも激しい競争にさらされたことがないため、とことん受け身で、自分からすすんで動き出す主体性に欠けるといわれます。基本的にまじめで、言われたことはやるものの、言われないと何もしない。打たれ弱く、何かあるとすぐにキレたり、折れたりする傾向も。「3年で3割が退職する」といわれるゆえんです。こうしたゆとり社員を育成し、組織に定着させるのは容易ではありません。
しかし一方で彼らは教えてもらいたい欲求が強く、上司・先輩に対しては厳しい指導よりもやさしく手厚いサポートを求めているとも指摘されます。優秀な中堅社員をチューター(教育係)としてマンツーマンで指導させたり、先輩社員向けに新人への接し方を学ぶ「コーチング研修」を実施したりするなど、ゆとり社員の戦力化に独自の策を講じる企業も増えてきました。
多くの企業にとって、新人育成はいまや経営の最重要課題。相手がゆとり世代であればなおのこと、多忙をきわめる現場にまかせきりにしてはいられません。
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