ファイナンシャル・ウェルネス
ファイナンシャル・ウェルネスとは?
「ファイナンシャル・ウェルネス」とは、個人が日常生活や将来の計画において金銭的な不安がなく、生活を楽しむための選択ができる状態のこと。単に給与額が高いことではなく、中長期の経済的安定感からくる状態を表しています。例えば、収入と支出のバランスがとれている、緊急時の資金を確保できている、将来に向けた資産形成が計画的に行われている、といった要素を満たした状態を指します。
従業員のファイナンシャル・ウェルネス向上が
米国企業では福利厚生のトレンドに
お金の不安は、メンタルヘルスに大きな影響を及ぼします。現在は人生100年時代といわれますが、長く生きればそれだけお金もかかります。昨今の物価高や不動産の高騰、年金制度への不安も相まって、お金の心配は尽きません。
ファイナンシャル・ウェルネスという概念は、特に米国で注目されているキーワードです。米国には日本ほど手厚い社会保険制度がないため、資産形成の自助努力が求められます。そのため企業の福利厚生として、従業員のファイナンシャル・ウェルネスを支援する動きが盛んになっているのです。
例えば、ウォルマート社は従業員向けに「Even」というファイナンシャルアプリを導入しています。自社の給与システムと連携することで、給与を貯蓄に回した後、どのくらい手元に自由に使えるお金が残るのかを正確に把握できます。また、アプリ上で給与を前借りすることも可能。従業員の経済的な不安を解消しています。
企業が従業員のファイナンシャル・ウェルネスを支援するためには、その他にもファイナンスに関する教育プログラムの提供や、専門家による個別のカウンセリングなど、さまざまな施策が考えられます。
従業員のファイナンシャル・ウェルネスの向上によって、企業はどのようなメリットが得られるのでしょうか。例えば従業員が経済的な安心感を得ることでより仕事に集中できるようになると、生産性が高まります。経済的に守られていると感じられると、会社へのロイヤルティーが高まり、離職率の低下にもつながるでしょう。
雇用形態の多様化や人材の流動性の高まり、終身雇用制の終焉(しゅうえん)、副業解禁。企業と従業員の関係性が急速に変わるなかで、一人ひとりが自分の人生に必要な形の資産計画を持つことが求められています。4人に3人がお金に不安を持つ時代に、ファイナンシャル・ウェルネスは、日本社会に必要な考え方なのかもしれません。
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