アウトスキリング
アウトスキリングとは?
「アウトスキリング」とは、人員整理やその危険性が高い従業員に対して、デジタル分野などの成長産業への就職に役立つスキル教育を実施し、新しいキャリアの形成を支援すること。プログラミングやデータ分析、Webデザインなどのデジタルスキルを学ぶことが多く、教育内容は「リスキリング」と重複することもあります。リスキリングは社内での配置転換を前提としたスキル教育であり、アウトスキリングは社外への転職を前提としたスキル教育といった違いがあります。
退職した従業員との関係を維持できるうえ
企業ブランドの毀損(きそん)も免れる
アウトスキリングは、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済状況の悪化をきっかけに、欧米で注目を集めるようになりました。飲食や小売、運輸などを中心に多くの企業が事業の縮小や撤退を迫られる中、レイオフ(一時解雇)の可能性のある従業員に学びの機会を与え、社外へ送り出す必要性が高まったからです。
人員整理の対象者にとって、先の見通しも立てられないまま転職活動に乗り出すのは不安なものです。DXの推進によってデジタル関連のスキルが求められる傾向が強まるなか、現在のスキルのままでは再就職することが難しい人も多いでしょう。アウトスキリングによって、現在の会社で働きながら成長産業への就職・転職に成功しやすいスキルを習得することができます。
なお、解雇後の再就職支援を指す「アウトプレースメント」というサービスがありますが、カウンセリングや適職診断、履歴書作成・面接指導、職業紹介などが中心で、従業員のスキル開発までは行われません。
アウトスキリングは、送り出す企業側にもメリットがあります。丁寧に実施することで、辞めさせざるを得ない従業員と良好な関係性を維持することが可能です。また、「従業員を大事にしない」といったネガティブなイメージがつくことを防ぎ、残留する従業員のロイヤリティを低下させるリスクを回避することもできます。企業ブランドが損なわれることを防止できるのです。
人員整理やその危険性の高い従業員に対して行うアウトスキリングは、賃金上昇や次のキャリアに確実に結びつくものである必要があります。人気の高いスキルにむやみに取り組むのは得策ではありません。対象者が保有するスキルを棚卸した上で、将来性がある業界・職種へ転職するときにニーズがありそうなスキルの習得を目指すことが重要です。
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