ERG(従業員リソースグループ)
ERG(従業員リソースグループ)とは?
「ERG」は「Employee Resource Group」の略で「従業員リソースグループ」と訳されます。組織の中で同じ特質や価値観を持つ従業員が主体となって運営するグループのことです。人種、ジェンダー、宗教、障がいなどの属性から、テクノロジー活用、グルーバル化推進といった共通の課題意識まで、組織によってさまざまなERGが存在します。その属性の当事者だけでなく、アライ(Ally)と呼ばれるような支援者もグループの一員となります。ERGを設立することによって横のつながりが強化され、エンゲージメント向上などの効果が期待できます。
トップダウンとボトムアップ
両輪でかなえるダイバーシティ
ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)の実現は、企業の社会的責任であるという認識が徐々に浸透してきました。多様な属性やバックグラウンド、価値観にオープンな組織は、採用でも良い印象をあたえやすいでしょう。しかし、D&Iは一朝一夕で実現できるものではありません。多様性のある職場環境はどうすれば作れるのでしょうか。
ERGは効果的な方法の一つです。経営層による理念浸透や制度の新設といった施策がトップダウンの取り組みとすると、ERGはボトムアップの取り組み。共通の課題意識を持つ社員が有志で集まり活動することによって、トップダウンとは違った形で従業員に影響をもたらします。
ボトムアップというからには、ERGは活動を主導する従業員の存在が必要です。会社がERGをコントロールすることはできませんが、ERGが活発になるよう支援することはできます。
ERGの活動が盛んであるジョンソン・エンド・ジョンソングループの日本法人には、四つのERGがあります。最も歴史が長いのが女性のキャリアや働き方を軸にした団体で、そのほかにLGBTQ+、障がい、世代をテーマにしたERGが存在します。
同社はERGを盛り上げるため、従業員からのボトムアップだけに頼るのではなく、会社がさまざまな支援を行っています。たとえば、日本法人グループの各代表がERGのスポンサーとして活動を支えていたり、ERGに参加した従業員の活動成果を評価に反映させたりします。そうすることで、会社がERGを単なるボランティア活動で終わらせず、オフィシャルに認めているのだというメッセージが従業員に伝わります。
ERGの活動が盛んになることで、従業員のエンゲージメントや定着率の向上が期待できます。D&I施策は、経営層や人事部が主導する取り組みだけでなく、思いを持った従業員の活動を支援することも効果的なのです。
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。