パブリック・ベネフィット・コーポレーション(ベネフィット・コーポレーション)
パブリック・ベネフィット・コーポレーション(ベネフィット・コーポレーション)とは?
「パブリック・ベネフィット・コーポレーション(ベネフィット・コーポレーション)」とは、米国の企業形態の一つ。経済的利益だけでなく、社会や環境など公共の利益を生み出す企業に適応される法人格です。株式会社は利益を追求することが優先されますが、ベネフィット・コーポレーションは環境やコミュニティ、社員など、幅広いステークホルダーに対してバランスを取った経営判断をします。法律の詳細は州によって異なりますが、2010年のメリーランド州での法制化を皮切りに、2022年2月現在で30州以上に広がっています。
企業が株式会社ではなく
ベネフィット・コーポレーションを選ぶ利点とは
日本でもSDGsが徐々に浸透し、サステナビリティやパーパス経営への関心も高まっています。しかし、多くの企業が株式会社である以上、社会や環境への影響を考慮したくても、利益に直結しないことについては経営判断がしにくいのが現状です。
米国で生まれたベネフィット・コーポレーションは、株式会社とは異なり、利益の追求だけでなく社会貢献を約束した企業形態。認定された企業は、ベネフィット・レポートの提出や第三者機関による認証といった、株式会社にはない義務が課され、社会的・環境的影響について進捗状況を報告しなければなりません(州によって異なる)。定款には、低所得者へのサービスの提供、環境保全・保護、芸術や科学の振興といったように、公共の利益となる取り組みを明記する必要があります。
これだけのことをするのだから、経済的メリットが大きいのではと考える人もいるでしょう。しかし、ベネフィット・コーポレーションになっても税制上の優遇措置はありません。それでも、企業がベネフィット・コーポレーションを選択するのは、「社会貢献を重視した経営判断ができる」「投資家にとって魅力的な投資先となれる」「消費者に選ばれる企業になれる」「採用競争力が高まり定着率も上がる」といったメリットがあるからです。
日本には現状、このような形態の法人格はありませんが、SDGsやESG投資への関心が高まっている今、ベネフィット・コーポレーションには、「選ばれる企業になる」ことへのヒントが詰まっているかもしれません。
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