研修では、なぜ人は育たないのか?
HPI(Human Performance Improvement)という、コンサルティング手法がある。
この手法を提唱している、ジョー・ウィルモアは、「個人のパフォーマンスにおける問題の80%以上は、パフォーマー(個人)のスキルや能力不足から起こるのではない」と分析し、エドワード・デミングなどの研究者たちも、「パフォーマンス不足を招く多様な原因に対して、研修がその解決策になることはほとんどない」と繰り返し、研究結果を示している。
多くは、「業務プロセス上の問題、モチベーション、インセンティブ、リソース、あいまいな基準、混乱させるフィードバック」が原因でパフォーマンスが低下しているいうのだ。
この理論には、私も同感だ。
特に、難しい仕事や専門知識が必要な分野に配置される新入社員・転入社員等は、はじめに難解な業務知識ばかり詰め込もうとすると、苦手意識が刷り込まれてしまい、委縮し、成長が鈍化してしまう。
彼らに、真っ先に教えなくてはならないのは、「どうすれば、その部門で与えられた新しい仕事が“できるようになるか(=パフォーマンス)”」という、具体的な業務の最適化された実行プロセスだ。
木に例えるなら、葉っぱが知識、幹が最適化された業務プロセスとなり、葉っぱばかりに栄養を与えていると、知識肥大、肥料過多となり、この状態で、コミュニケーション研修等の枝葉(=テクニック)を育てようとすると、テクニック倒れとなる。よくロープレは上手くできるが、実際に仕事ができないという由々しき事態を見かけるが、肝心の幹は枯れてしまうのだ。
人を育てようとするなら、何をおいても、「幹を育てる」ことを、真っ先にやらなくてはならない。ここを理解できていないと、研修費用のROI(費用対効果)は、最悪のものとなってしまうから、十分な考察と注意が必要だ。
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田原 祐子(タハラ ユウコ) 株式会社ベーシック代表取締役(社会構想大学院大学教授)上場企業社外取締役監査等委員
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