職務明確化の方法:ジョブ(職務・役割)に基づく人事制度の根幹
「ジョブに基づく人事制度」に関する過去の記事を再掲載してきましたが、ここで改めてその根幹となるジョブ(職務・役割)の明確化の方法を具体的に説明していきたいと考えています。内容は2021年2月に弊社ホームページに掲載したものを基本に再編集し、初めての方にも理解しやすくし、ここに再掲載することにしました。ご参考になれば幸いです。
職務明確化の方法(1)
ジョブ(職務・役割)に基づく人事制度の根幹
「職務明確化の方法」の具体論に入る前に、みのりのホームページに載せている下図「みのりコンセプト(1)総合的人的資源マネジメント」を使用して、「ジョブ(職務・役割)に基づく人事制度」の全体像をご説明したい。
【みのりコンセプト(1)総合的人的資源マネジメント】
この図が職務に基づく人事制度の全体像である。人事制度は社員の処遇のための仕組みであるが、同時にその仕組みが会社の理念・戦略実現を支えるものであることが重要である。会社の事業と切り離したところに人事が存在するわけではない。会社の事業を支える人事制度を作る要が職務であり役割である(弊社では「職務」と「役割」を同じものとして扱う)。この図に表されているように、評価制度・給与制度・キャリアプラン制度等の基本的な人事制度は全て職務・役割を基準とする。日本的な人事制度における人事制度の出発点は「ヒト」であり、年齢・性別・能力と言った属人的な要素を基準として制度を構築しており、職務・役割に基づく人事制度とは基本的な構造が異なる。「ジョブに基づく人事制度」を議論する際に、この基本的な構造の違いを理解していないと議論が成立しない。
人事制度は社員処遇の公正さを確保するものでなければならないが、そのよって来るところを「ジョブ(職務・役割)」とするか「ヒト」とするかにより、個々のジョブを定義する意味合いが異なる。ヒト中心の人事制度であればジョブの厳密な定義は求められないであろうが、社員処遇の基準としてのジョブ定義であれば統一的な基準で公正さを確保するための厳密さが求められる。
ヒト中心の人事制度の場合「ジョブ」の定義から始まり、記述のルールの説明をすると、無駄なプロセスとして一蹴される。人事制度の基本を変えずに特定の職務に対してのみ「ジョブ型雇用」を導入するのであれば当然の反応である。しかし今回の「ジョブ型雇用」と言われているものの導入を機に、「みのりコンセプト(1)」に示すような機能的な組織運営のための人事制度への転換を考えるのであれば、「ジョブ」の持つ意味を考え直すところから始める必要がある。
以上を理解して頂いてから、次回より職務明確化の方法の具体論へと説明を進めて行きたい。具体的な内容としては下記の3項目となる。
(1) 職務とは何か?貢献責任という概念
(2) 貢献責任抽出方法
(3) 貢献責任記述の決め事
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秋山 健一郎(アキヤマ ケンイチロウ) 株式会社みのり経営研究所 代表取締役
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