企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

プロフェッショナルコラム

学習チャネルの特性とチャネルミックスの考え方

社内研修の手段が急速にオンラインに移行する流れが起きていますが、私がいる塾・予備校業界では既に15年前に今回の移行に近い状況が起きていました。当時、塾と言えば個別指導は既に存在していたものの、まだまだ授業は集団でおこなうものという常識がありました。

そこに映像を採りいれた新しい指導形態が出てくるわけですが、当時、映像授業は集団授業には及ばないという意見が多くありました。というのも「映像では講師の気持ちや緊張感が伝わらない」といった教える側の論理が強かったように思えます。

その後はご存じの通り、映像に全てが置き換わったということではなく、集団授業は集団ならではの良さ、個別授業は個別ならではの良さ、映像授業は映像ならではの良さをそれぞれ「いいとこどり」しながら、学び手はその目的に応じて手段を選び、学習するという流れが一般的になりました。

これは今起きている研修のオンライン化にも同じようなことが言えます。オンラインは私どもの業界では映像やICTの授業にあたります。

そして個別指導はOJT、集団授業は集合研修と仮に分けたときに、それぞれの学習チャネル(指導形態)の特性を活かした学びの提供があるはずなのに、例えば「オンラインでこれまでの集合研修が補える」「オンラインであればOJTの代用になる」といったオンライン至上の考え方が存在することは、いささかの違和感があります。

もちろん世の中がこのような状況ですから、新しい学びのツールを活用しない手はないのですが、大切なことは「オンラインでできることとできないことは何か」「オンラインでやったほうが効率的なことと非効率的なこととは何か」をまずは精査していくことが、例えば階層別研修、部門別研修を効果的に進めようとしたときに非常に重要な視点と感じています。

では、これらのチャネルをどのように活用していけばよいのでしょうか。ここでのポイントは大きく2つあります。

1つは塾が、集団・個別・映像という3つのチャネル(指導形態)を持つようになったときに、それぞれのチャネルの特性を発揮する学年、レベル、教科をおおよそ特定した点です。

具体的には、「映像は年齢が上がるほど向いている」「個別は科目間のレベルに開きのある生徒に適している」「集団は難度の高い学校を受験させる生徒に適している」などです。この他にもたくさんありますが、それぞれのチャネルが持つ特性を学習者のどこに適用するかを考えることは大切なことといえるでしょう。

もちろん、大人と子供の学びは全く違いますから、これをそのまま大人の学びに移行することはできません。しかしこの視点を社内教育体系の中の集合研修、OJT、オンラインという3つのチャネルに置き換えたときに、大きなヒントが隠されているのは間違いありません。

そしてもう一つが、集団と個別と映像のチャネルをミックスし、「生徒一人ひとりに学習コース」として提案することです。ポイントは人に応じてミックスするということです。

社内研修の多くは、階層やキャリア、部門という単位で講座の選択権はあるものの、「一斉、一定、一律」の学び方がほとんどです。一方で塾であれば、個人に応じて例えば、理科社会は映像で学習、国数英は集団で学習という生徒もいれば、苦手な数学は個別で、残りの4科は映像という生徒もいます。これらは生徒が選択するケースもありますが、提案はチューターなどがおこなうことで、最適な学びが提供されています。

このように、社内研修でも学びのチャネル(指導形態)が増えてきたことで、これまでのやり方を大きく見直す時期がまさに今になります。それぞれのチャネルの特性とチャネルミックスの考え方を運用しながら、それぞれのチャネルに応じた学びをデザインしてみてはいかがでしょうか。


関連情報

●資料ダウンロード
【集合研修をオンライン研修にリ・デザインⅡ】オンライン研修ファシリテーター養成アセスメント

サービス・製品資料

【集合研修をオンライン研修にリ・デザインⅡ】オンライン研修ファシリテーター養成アセスメント

研修でのトレーニングではなく、弊社のメソッドをもとに実践を通して、社内講師の方に個別にアセスメントをおこないます。オンラインファシリテーションのノウハウをご提供しながら、弊社スタッフがオンラ...


●資料ダウンロード
【集合研修をオンライン研修にリ・デザインⅠ】
オンライン社内教育内製化 ショートコンサルティング

サービス・製品資料

【集合研修をオンライン研修にリ・デザインⅠ】 オンライン社内教育内製化 ショートコンサルティング

内製化した集合研修のプログラムをオンラインで実施したい場合、「プログラムデザイ ン」の視点、「教材」の視点、「ファシリテート」の視点で、オンライン用に貴社の教育ご担当の方たちと共にでカスタマ...


この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。

※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

コラム執筆者
細谷幸裕
細谷幸裕(ホソヤユキヒロ)
㈱市進ホールディングス コンサルティング事業研究所 所長
私たちは 教えるプロであり続けます
大人と子どもの学び方には違いがある一方で、多くの共通項があります。その共通項の1つである「主体的に学ばせる動機つけのメソッド(教え方のスキル)」は、管理職の部下育成や専門社員の教え方の向上など、あらゆるビジネスパーソンに役立っております。
得意分野 モチベーション・組織活性化、キャリア開発、コーチング・ファシリテーション、コミュニケーション、プレゼンテーション
対応エリア 全国
所在地 文京区

このプロフェッショナルのその他のコラム

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

POSITIVEの導入事例はこちら メンタル対応可能な産業医を紹介します 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


会社の新しい挑戦を支えるために<br />
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

会社の新しい挑戦を支えるために
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

第一三共株式会社は2025年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グルーバル...