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専門家コラム

第31回 年末調整におけるマイナンバーの取扱い

給与計算業務を自ら行っている経営者や実務担当者は、そろそろ「年末調整」が近づいて来たと感じる時期ではないかと思います。

 

平成28年の年末調整がこれまでの年末調整と大きく違うのは、従業員や扶養家族のマイナンバーを取り扱わなければならないという点です。

すでに昨年の年末調整時にマイナンバーを集めた会社もあると思いますが、通知カードの到着が遅れるといった事態もあり、中小企業では今年の年末調整で初めてマイナンバーを取り扱う会社もあるようです。

今回は、あらためて年末調整における「マイナンバー」の取り扱いについて確認していきます。

 

<どの書類にマイナンバーを記載する必要があるのか?>

年末調整に必要な書類は、次の4種類になります。これらの書類は、12月の給与計算もしくは賞与計算までに従業員から提出してもらう必要があります。

1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

2.給与所得者の保険料控除申告書

3.給与所得者の配偶者特別控除申告書

4.給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローンがある方のみ)

※2と3は1枚の兼用用紙になっていますので、年末調整に使用する書類は3枚になります。

 

マイナンバーの記載が必要になるのは、「1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。

会社が個人番号を取得する際は、正しい番号であること(番号確認)、現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であること(身元確認)をする必要があります。

今回初めてマイナンバーを取得する会社は、しっかりと確認をしてください。マイナンバー取得に関する詳しい内容については、「ますます重要になる人事・労務のコンプライアンス 第23回コラム」を参照いただければと思います。

 

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」には、本人だけでなく扶養家族のマイナンバーも記載する必要があります。しかし、扶養家族のマイナンバーについては、従業員が確認して記載することになっていますので、会社は確認する必要がありません。

むしろ、扶養家族分については、従業員が記載してきたマイナンバーをそのまま信用し、正しいか否かの確認を会社はしてはいけないと解釈されています。

 

<扶養控除(異動)申告書にマイナンバーを記載しないでもよいケース その1>

原則は、会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にマイナンバーを記載します。しかし、すでに会社が従業員とその扶養家族のマイナンバーを取得して保管をしているケースも少なくありません。

このような会社に対しては、例外が認められています。会社と従業員間での合意が前提になりますが、扶養控除等申告書の余白に「マイナンバーについては会社に提供済みのマイナンバーと相違ない」旨を記載した上で、会社がすでに提供を受けているマイナンバーの確認をした旨を扶養控除等申告書に表示すれば、扶養控除等申告書そのものには従業員等のマイナンバー(個人番号)を記載しなくても良くなりました。

なお、会社において保管しているマイナンバーと、マイナンバーの記載が省略された従業員の扶養控除等申告書については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります。

この例外は、平成28年の年末調整(平成28年分扶養控除等申告書)から適用されます。

 

<扶養控除(異動)申告書にマイナンバーを記載しないでもよいケース その2>

ケース1での取り扱いとは別に、「平成29年1月1日以後に支払を受けるべき給与等に係る扶養控除等申告書」(平成29年分以降の扶養控除等申告書がすべて該当します。)については、会社が従業員等のマイナンバーを記載した一定の帳簿を備え付けている場合には、その帳簿に記載されている従業員のマイナンバーの記載を省略できます。

このケースは、単純に「省略できる」こととされていますので、ケース1のように余白に記載する必要もありません。

 

ここでいう「一定の帳簿」は、次の申告書の提出を受けて作成されたものに限ります。

1.給与所得者の扶養控除等申告書

2.従たる給与についての扶養控除等申告書

3.退職所得の受給に関する申告書

4.公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

また、帳簿の記載内容についても指定されており、以下の3つの項目を必ず記載しなければなりません。

1.扶養控除等申告書に記載されるべき提出者本人、控除対象配偶者、控除対象扶養親族等の氏名、住所及びマイナンバー

2.帳簿の作成に当たり提出を受けた申告書の名称

3.その申告書が提出された年月

なお、この帳簿は電磁的記録でも認められています。電磁的記録による帳簿を備え付ける場合には、備え付けを開始する日の3ヶ月前の日までに所轄税務署に対して「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を提出し、承認を受けなければなりません。

繰り返しになりますが、この取り扱いは、平成29年分の扶養控除等申告書から適用されるルールです。「平成28年分扶養控除等申告書」には適用されない点に注意してください。

年末調整におけるマイナンバーの取り扱いは、今年になってからも随時変更されています。実際の年末調整の業務に入る前に、変更された内容を確認しておきましょう。

省略できるルールのケース2で紹介した方法は、帳簿等の要件に制約があり煩雑なように見えますが、一度作成してしまえば翌年以降もそのまま使用することができます。給与計算業務は、工数が増えれば増えるほどミスが発生する可能性が高まります。そのため、省ける業務であれば、できるだけ省略することを考えるようにしましょう。

 


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コラム執筆者
川島孝一
川島孝一(カワシマコウイチ)
人事給与(ペイロール)アウトソーシングS-PAYCIAL担当顧問
経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。
(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
得意分野 法改正対策・助成金、労務・賃金、福利厚生、人事考課・目標管理
対応エリア 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)
所在地 港区

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