イノベーティブな職場って、どういう職場?
あなたの職場はイノベーティブですか?
そう聞かれたら、あなたはどう答えますか?
革新的な商品やサービスを次々に生み出していれば、自分たち職場、会社はイノベーティブだと胸を張って主張できるかもしれません。しかし実際には、そういった企業はそうそうあるわけではありません。だとすると、世の中の多くの職場はイノベーティブではないということになるのでしょうか。
大切なのは、商品やサービスの開発に限らず、結果として革新的なものを生み出したかではなく、そうした意欲や行動が実際に生まれる職場になっているかということです。
つまり、自分たちが何か革新的なものを生み出したい、世の中に新たな価値や幸福を提供したい、あるいは自社内でも今までのやり方をもっとよくしたい、働いている仲間、他部署の人たちがもっと楽になるようにやり方に変えたい、こんな思いや行動が伝播し、組織全体に波及していく、そんな職場です。
わたしが最初に配属された職場は、本当に楽しくて、あったかくて、そしてイノベーティブな職場でした。入社すると、いきなり怖いお姉さま(本当はやさしかったです)にお茶くみとお菓子の買い出しは新人の役割だからねとプレッシャーをかけられ(本当は交代制でした)、ことあるごとにみんなからいじられ、飲み会も頻繁、毎日おやつの時間もあり、みんなで雑談や議論をしながら、夜遅くまでワイワイ、楽しく一生懸命働いていました。
そんな中で、一人ひとりが新しいことをやろう、世の中を変えるような仕事がしたいという思いを当たり前のように語っていて、しかもみんなで共有していました。
毎年のように大きな研究プロジェクトが発足して、部門を超えたメンバーで合宿をして徹底討論したり、自分の仕事や研究内容を発表する機会や他部署の専門家の話も聞く機会があったり、本を決めてみんなで毎週集まって自主的な勉強をしたり、タバコ部屋で他部署の人が集まって、あるプロジェクトについてみんなで激論を交わしていたり・・・。それぞれが誰より詳しい分野をつくり、それを共有して認め合いながら、みんなで世の中の最先端を走っていこう。そんな空気が職場全体、部門全体に広がっていたように思います。
新しいことに触れること、踏み込んでみること、変化をすることが、当たり前で、楽しいことだと思える。そんな職場だったと思います。
2013年の12月に、ジェイフィールでは「企業のノベーションに関する実態調査」を行いました。そこで、新しいアイデアや取り組みが生まれない理由を聞いてみました。
一番多かった理由は、「目の前の仕事に追われ、余裕がない、時間ない(77%)」、次いで「新たなものを生み出すプロセス、思考の仕方が共有されていない(48%)」「余計なことはしない、リスクがあることはしないという意識が強い(46%)」となっていました。
先ほどのわたしが最初に入社した職場も、その当時は本当に忙しくて、終電は当たり前、土日も良く出社して、大量の分析データと格闘していました。でもそのときは、時間に追われているのに、どこかに心の余裕がある、仕事を楽しんでいる自分がいました。
また、発想法などはみんなで勉強しましたが、それ以上に日常の対話が重要だったように思います。本質的な問いを投げかけられ、意味や選択肢を考えたり、その先に何をしたいかを探求している時間が頻繁にあったように思います。特別な手法がなくとも、みんなで未来を考え、未来に向けた行動を起こしていました。
リスクについても同じです。確かに今は、リスク管理の重要性が高まりました。でも、リスクがあることはしないとなると何もできなくなります。リスクの中身を議論し、リカバリーできる可能性が高いものとそうでないもの、あるいは発想の転換をすればリスクがチャンスになるものがないか、そういった議論が新たな道を切り開くことになるのではないでしょうか。
イノベーションを起こすために、まずはイノベーティブな職場をつくる。それは、みんなが仕事を楽しみ、自分たちが見ている世界、これから起こりうる世界への期待や希望、小さな思いを口にすることができる、一歩踏み出していける、そんな職場ではないかと思います。
今の職場をイノベーティブな職場に変えるカギはどこにあるのか。組織感度、問い直し、差異化、発想起点の転換、共創と進化・・・。カギはいくつかあります。一緒に考えていっていただけたらと思います。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- リーダーシップ
- マネジメント
- チームビルディング
ベストセラー「不機嫌な職場」の著者
リレーションシップを基軸にした新たなマネジメント論を提唱
「つながり力」の再生が、個を活かし、組織を強くする。
「組織感情」「リレーションシップ」など、組織力を高めるための方法論を数多く提案。
個々人が働く喜びを取り戻し、組織がイキイキと動き出す支援をしています。
高橋 克徳(タカハシ カツノリ) 株式会社ジェイフィール代表取締役 武蔵野大学経営学部 特任教授
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