従業員満足度調査とエンゲージメントサーベイの違い#2

エンゲージメントサーベイを導入する企業が増えています。しかしその際、「エンゲージメント」と従来の「従業員満足度」が混同されているケースも散見されます。

どちらも人に関わる調査なので同じようなものだろうと思われがちですが、実は両者の概念はかなり異なるものです。本コラムでは2回に渡り、エンゲージメントと従業員満足度の違いや、誤って代用した場合の弊害について、解説をします。

第2回目となる今回は、4つの弊害のうち、残りの2つを解説します。第1回目のコラムはこちらよりご覧いただけます。https://jinjibu.jp/spcl/keiji-matsuoka/cl/detl/5846/

 

弊害その3:失望を招く恐れがある

満足度は従業員による評価・採点と言いましたが、換言すれば従業員からの改善要望であるとも言えます。経営者が従業員の改善要望に耳を傾け理解することは重要ですが、それらすべてに応えられるわけではありません。

満足度調査に回答することによって、従業員は自分の意見を経営に反映できることを期待します。しかし、経営には経営の優先順位があるため、満足度調査の結果が低かったからといって、すぐに改善されるとは限りません。そのようなことが繰り返されると、満足度調査に回答しても何も変わらないという失望が広がってしまう恐れがあります。

弊害その4:主体性が希薄化する

満足度調査の対象は自分の外側にあるため、従業員一人ひとりでは解決できない問題がほとんどです。そのため従業員は、経営や人事部門や上司に改善を期待し、受け身の姿勢で待つしかありません。

一方、エンゲージメントは一人ひとりの心の状態なので、経営や人事部門が旗を振れば高まるという問題ではありません。会社としての対策は不可欠ですが、それぞれの職場における取り組みも同時に重要になります。その際には全員が主体性をもって、エンゲージメント向上への取り組みに参加することが必要です。待ちの姿勢で、エンゲージメントは高まらないのです。

 

以上、エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査の違い、従業員満足度調査をエンゲージメントサーベイの代用とすることの問題点について解説しました。エンゲージメントを測定したいのであれば、はじめからそれに特化したサーベイを用いることが得策と言えます。

エンゲージメントサーベイの選び方のポイントについては、過去のコラムでも連載していますので、ぜひそちらもご一読ください!https://jinjibu.jp/spcl/keiji-matsuoka/cl/

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日本において、1on1とOKRを含む、パフォーマンスマネジメントの重要性をいち早く唱え、多くの企業の経営者と共にマネジメント改革に携わる。

東京大学法学部卒業後、アクセンチュアにて、人と組織の変革を担当するチェンジマネジメントグループの立ち上げに参画。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任後、アジャイルHRを設立。

松丘啓司(マツオカケイジ) 株式会社アジャイルHR 代表取締役社長

松丘啓司
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