調査速報!日本の従業員エンゲージメントの状態は?Vol.3
昨年大きな反響を呼んだ、全国1万人を対象とした従業員エンゲージメント全国調査。
2023年に引き続き、2024年も株式会社アジャイルHRと株式会社インテージが共同開発し、東京大学医学系研究科の川上憲人特任教授と共同研究を行った「A&Iエンゲージメント標準調査」を利用して、全国調査を実施しました。
コロナの制約が外れたこの1年間の従業員エンゲージメントの変化は、どうなったのか?数回に分けて、速報レポートをお届けします。(前回のコラムは https://jinjibu.jp/spcl/keiji-matsuoka/cl/detl/5439/よりご覧いただけます。)
前回のコラムでは、日本の従業員エンゲージメントを低下させているセグメントの、「年代」と「職種」について数値から見えることを解説しました。
今回のコラムでは、「業種」と「従業員規模」について解説します。
■業種:業種によって差が大きい
まず初めに、業種の差を見て見ましょう。図4のように、業種によって従業員エンゲージメントに大きな差があることが分かります。
従業員エンゲージメントがもっとも高い業種は、「医療、福祉」、次いで「教育、学習支援業」であり、もっとも低い業種は「製造業」、次いで「運輸業、郵便業」となっています。
このように業種によって数値の差が表れるのは、業種の特性によって、仕事の資源の豊富さがそもそも異なることが要因と考えられます。
例えば、「医療、福祉」や「教育、学習支援業」は、「仕事の意義」を実感する機会が多い等の理由が影響を及ぼしていると考えられます。
■従業員規模:50人の壁が存在?
次に従業員の規模によって差が出ているかを見て見ましょう。図5のように、50人未満の小規模会社の従業員エンゲージメントがもっとも高い値を示していますが、50~99人になると低下しています。
特に50~99人の組織コミットメントの低下幅が大きく、100人を超えて人数が増えるにつれ、緩やかに上昇していく傾向が見られます。
50人を超えた会社では、マネジャーの量的・質的不足が共通の課題となる(いわゆる「50人の壁」)と言われますが、その影響による可能性が推測されます。
皆さんの会社と比較して、全国調査の結果はどうでしたか?
弊社のエンゲージメントサーベイを実施した企業に数値のご説明をする際に、全国調査における同業種の数値を比較対象として提示していますが、似たような傾向を見せる企業もあれば、同業種であっても異なる傾向を見せる企業もあります。
数値の上下や、全国平均との違いを見ることはもちろん有効ではありますが、前回のコラムでも述べた通り、エンゲージメントの向上のためには、数値からは見えてこない以下のような情報を把握することが必要です。
- その課題の原因になっている事象課題を解決できない理由
- 課題を解決できない理由
- どのように改善したいのか?という現場の思い
現場へのヒアリングや、組織の長への報告し改善を求める等といった取り組みをする企業が多くありますが、一番有効なのは、サーベイ結果をもとに、マネジメントや現場のキーパーソンを集めて、専門家のファシリテーションをもとに、サーベイ結果を読み解き、参加者で当事者意識をもって議論を行う場を設けることです。
サーベイ結果を正しく理解するのはもちろん、「なぜ」を自分事として考えて議論することで、次に何をすべきかを主体的に考えることができるようになります。サーベイのやりっぱなしに課題がある企業の皆さんは、ぜひそのような場を設けてみてはいかがでしょうか?
次回のコラムでは、コロナ後の従業員エンゲージメントの変化について解説します。
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日本において、1on1とOKRを含む、パフォーマンスマネジメントの重要性をいち早く唱え、多くの企業の経営者と共にマネジメント改革に携わる。
東京大学法学部卒業後、アクセンチュアにて、人と組織の変革を担当するチェンジマネジメントグループの立ち上げに参画。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任後、アジャイルHRを設立。
松丘啓司(マツオカケイジ) 株式会社アジャイルHR 代表取締役社長
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