経営者支援(エグゼクティブカウンセリング)について
みなさんこんにちは。ヒューマン・タッチの森川隆司です。今回は、経営者支援(エグゼクティブカウンセリング)に関して書いてみました。
あらためてですが、私は、海運会社での航海士としての勤務、IT企業でのPMO業務を経て、夜学の大学院で心理学を学び、ヒューマン・タッチを起業して18年目になります。ご一緒した企業様は500社を超え、個別の復職支援や人事労務また経営者の皆様への面談は、2,000件を超えていると思います。
メンタルヘルスの世界に入って20年ほどたちますが、「不調者支援」→「不調者予備軍支援」→「管理監督者支援」→「人事労務担当者支援」と時代と共に支援対象者の枠が広がってきているように感じます。
私たちも「組織支援」と銘打ってコンサルテーション活動にて仕組み作り「指針作成」「心の健康づくり計画書作成」「業務フロー作成」「復職プログラム作成」「就業規則のレビュー」など、を人事労務ご担当者様とご一緒してきました。ご担当者様からは「まさにこれが作りたかった!」「他社事例含めて参考になった!」とお言葉をいただくのですが、作成された「案」が実際に全ての企業にて採用されるわけではありません。「経営層の理解が得られない」「組合との折衝がある」理由はいろいろです。復職支援で個別面談を行っていても、せっかく作った復職基準やリワークの活用などルールとして整っていなければ、やはり宝の持ち腐れですね。
どうしてこのような状況になるのか。行きついた結論は、「経営者支援」の必要性です。唐突かもしれませんが、企業にとって「経営者」はやはり最大のキーパーソンです。もちろん、経験も能力もある皆さんですが、やはり抱える「悩み」は大きく、誰にでも相談できる内容ではなく「孤独」です。
経営者、特に中小企業の経営者には、以下の様な悩みがつきものです。
【1】人材に関する悩み
採用難・人材不足:特に若手や即戦力人材の確保が困難。
社員の定着・育成:せっかく採用してもすぐに辞めてしまう。教育の負担も大きい。
管理職の育成:プレイヤーからマネージャーへ育てる仕組みが整っていない。
【2】資金繰り・財務の悩み
売上の変動・キャッシュフローの不安定さ
銀行融資や資金調達の難しさ
原材料・人件費の高騰による収益圧迫
【3】営業・マーケティングの悩み
新規顧客の獲得が難しい
既存顧客の離反・競合との差別化
販路の拡大・デジタル化対応(SNSやECなど)
【4】組織運営の悩み
社内コミュニケーションの希薄化
属人化による業務の非効率性
後継者問題(自社の事業承継)
【5】時代・社会の変化への対応
DX(デジタルトランスフォーメーション)への遅れ
働き方改革・法改正への対応(労働時間、有給休暇など)
脱炭素・SDGsへの対応プレッシャー
【6】社長自身の悩み(孤独・健康・引退後など)
誰にも相談できない孤独
自分の健康不安(過労やストレス)
引退後の人生設計・事業継承
社労士さん、弁護士さん、税理士さん、いろいろな専門職からアドバスをもらうわけですが、私の経営者としての個人的な経験からも、中小企業の経営者は「我が強い」「自分が一番正しいと思っている」「自分を邪魔する人間は排除する」「耳障りの良い意見を尊重しがち」な傾向が強いのではないでしょうか。(そういう私自身もこれら傾向があります。)
言い訳するわけではないですが、事業に失敗すれば、有限責任とはいえ経営者として個人保証をつけていればすべて、会社や従業員だけでなく、家も土地もそして大切な家族も、すべて持っていかれます。その責任や怖さはだれにでもシェアできる、わかってもらえるものではありません。結果、「我が強い」「自分が一番正しいと思っている」「自分を邪魔する人間は排除する」「耳障りの良い意見を尊重しがち」の傾向が強まることもあるのではないでしょうか。
士業の皆さんからの助言は、あくまで専門職として外部の知識を提供するスタンスです。これらの情報は、確かに他の会社や業種ではうまくいったのかもしれません。しかし、将来経営者が求める姿と重なり、それを実現する最適な手段なのかは、やはり別になると考えます。結局、最終的には自分で考え、判断しなければならないのが「経営者」なのです。
この時、最も必要なのは、私は士業の皆さんからの情報ではなく、経営者自身の「価値(何を大切にして、どのようになりたいか)」だと信じています。経営者の皆さんは、知識も経験もしっかりとお持ちです。ただ、上記【6】にあるような理由から、その力をうまく使えない場面がどうしても出てきます。
経営者の鏡となり、話を聴き、ご自身の課題を整理し、問題解決に向けてご一緒する。自ら有している力を最大限発揮していただくお手伝いをすることは、経営者自身だけでなくその先の「従業員」や「組織」を支える大切な取組だと感じています。
企業側にとっても、これほどコスパの良い「組織支援」はないと確信しています。何百万のコンサルや仕組みを導入するよりも、専任のカウンセラーを活用することで、数百分の一のコストで持続的かつ根源的な支援となるのではないでしょうか。
担当するコンサルタントの質も大切になってきます。弊社でも限られた心理士でしか対応できない業務ですが、意義の大きい取り組みとして継続していきたいと思っております。

このコラムを書いたプロフェッショナル
森川 隆司
株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
メンタルヘルス対策の仕組みづくり、個別休職復職支援、ラインケアセミナー、セルフケアセミナー、全員面談、ストレスチェック、職場環境改善、災害・自死等の危機対応など、「こころ」の視点から、「いきいき職場づくり」をトータルに支援いたします

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得意分野 | モチベーション・組織活性化、安全衛生・メンタルヘルス、コーチング・ファシリテーション、チームビルディング、コミュニケーション |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 船橋市 |
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