ストレスチェック組織結果報告会②
【ヒューマン・タッチ レター vol.107】
みなさん、こんにちは。株式会社ヒューマン・タッチの森川です。
前回は、ストレスチェック後の対応として、以下の⑤にあたる
部門長への個別面談の様子についてお話しさせていただきました。
①ストレスチェックの実施
②経営層もしくは人事労務担当者への結果報告会の実施
③部門長を集めた会議にて、部門別結果説明会の実施
④部門長を集めた会議にて、自部門の結果の振り返りと改善案の作成
⑤高ストレス者割合が多い(30%以上)、もしくは総合健康リスク値が高い(120以上)部門長との個別面談
⑥チームメンバーを集めての、小集団での「職場環境改善活動」の実施
今回は、④の部門長研修についてお話させていただきます。
組織結果の作成と、人事担当者や担当役員もしくは社長様への報告会を何年か実施すると
「では、この結果をどのように活用すればよいのか」との思いが皆さん出ていらっしゃいます。
まず大切なことは、各部門長が「現状を知る」ことだと思います。人事担当者や担当役員は
「○○の部署は○○の傾向があるな」
「昨年は○○さんが変わったから○○だな」と、
大まかであっても各部署の様子や傾向は把握していると思います。
では、当然把握しているべき部門長は、自部門のことをどれだけ知っているでしょうか。
自部門の課題だけでなく、強みまで含めてしっかりと把握できている部門長がどれだけいるか。
なかなかに難しいことだと思います。
もちろんストレスチェックですべて把握できるわけではありませんが
特に、職業性ストレス簡易調査票80問版を用いることで、
自部署全体の健康度(高ストレス者割合)、職場の健康リスク(総合健康リスク値)、
職場のエンゲージメント(いきいき度)などを、数字で知ることができます。
このような情報を、部門長の皆さんへの報告会兼研修会として実施することが、
④の開催にあたります。④を開催で注意していただきたい点がいくつかあります。
a.組織結果の見せ方の工夫
b.組織結果の味方の注意点
c.自部署の課題や強みを振り替える工夫
d.全員参加型の職場環境改善の方法についての情報提供
a.についてですが、会社としてどこまで組織の結果を共有するかという視点です。
組織結果では、部門ごとの
「総合健康リスク値」や「高ストレス者割合」などが数字として出てきます。
数字として出てくる以上、良い・悪い、高い・低い、という評価がどうしてもついて回ります。
ですので、例えば、スライド上(部門長全員が見る画面)には
会社全体の結果を表示(部門ごとの比較数字は入れない)して、
参加の部門長には手元に自部門の結果(印刷したもの)
のみを見ていただいて、見方を理解していただく方法があります。
b.についてですが、上記お話ししたように、どうしても組織結果の数字から評価、
特に「上司の支援」といった数字は、
上司自身のマネジメントの評価と重ねて捉えられる場合もあります。
様々な要因が重なって出てきた結果について、
一つの要因だけで理解するようなことは、誤解を生む可能性があります。
また、「総合健康リスク値」や「高ストレス者割合」に
課題がある部門については、部門長自身が疲弊していたり、困りごとを抱えていることもあります。
ここの点、研修開始直後に丁寧すぎるぐらいに説明をお願いしたい点です。
c.についてですが、会社全体または自部署の結果を確認してもらうことの次に、
その数字(結果)の背景を考えていただきます。
ストレスチェックの結果は、あくまで数字でしかありません。
私たちも積み上げられた他社の結果や、当該企業の様々な情報から分析報告させていただきますが、
最も職場の様子を良く知るのは、現場の職員の皆さんであり、管理監督者のはずです。
「仕事の量的な負担が高い」との結果がでた部門であっても、現場の皆さんの声を聴くと、
「会議が多くてその準備に時間がとられる」との声が出ることもあります。
なぜその数字が出たのか、その背景について時間をかけて考えていただきます。
※このような時間をとること自体、あまりないことだと思いますので、
貴重な振り返りとなることが多いと感じます。
d.についてですが、職場環境改善の王道は、管理監督者が作成する改善案の実行よりも、
現場の職員の皆さんに考えていただく改善案を実行することだと思います。
④をこれから開始しようという段階では、ボトムアップでの職場環境改善は時期尚早だと
思いますが、具体的な取り組みの方法や、改善事例などを管理監督者に知ってもらうことは
意味があると考えます。
まずは、管理監督者自身に
「今の職場を支える良い点」と「改善することでより働きやすくなる点」
を考えてもらいボトムアップの環境改善の取り組みを体験していただくのもよいのではないでしょうか。
経営層や管理監督者の皆さんに「職場環境改善案」を作成していただくと、
「○○の管理方法で情報を一元化する」
「○○の書式を使って報告させる」など、
マネジメントの視点での改善が出てくるケースが多いと感じます。
現場でできる小さな改善やスモールステップでの取り組みなど、
「自分自身が働きやすくなる工夫」の積み重ねが、効果を上げていくのかもしれません。
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森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
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