長引く大人のひきこもり(2)
【ヒューマン・タッチ レター vol.04】
長引く大人のひきこもり(2)~臨床心理士が教える具体的事例~
みなさん、こんにちは。ヒューマン・タッチ森川です。
前回のコラムで「大人の引きこもり」について触れました。
引きこもりの期間が長くなる方は、独自の「信念」を持っているケースもあります。
「自分は自らこの状態を望んで、選択したのだ」
「今の状況になんの問題があるのだ。少なくとも、家のことは手伝っている」。
もちろん、今の状況を何とかしたい、という気持ちはゼロではないと思います。しかし、そのような思いは、結果、動けない自分と直面し、自分自身を責めてしまうことにもなりかねないので、どうしても、それとは異なる「理解」「理由付け」が必要になるのかもしれません。
「動けない」理由は本当に様々です。
精神科的な疾患が影響しているケースもあると思います。
そこまででなくても、極度の対人緊張や不安を出してしまう人、周りに配慮しすぎて(周りの声が聞こえすぎて)自分をないがしろにし、疲れ果ててしまう人、過去のとても苦しい体験から同じような場面をどうしても避けてしまう人。
「隕石が落下してくるのが不安で外に出られない」
「車(自転車)を運転していると、人をひいてしまったのではないかと不安になり、外出できない」
「電車に乗ると、痴漢と間違えられるのではないかと電車に乗れない」
こんなケースもありました。
認知や思考面での偏りが強化され、行動が制限されているのかもしれません。
ただ、このような方々でも、実際に外出してみて、「隕石が落ちてこなかった」「電車に乗ったけれども、そもそも女性が乗っていなかった(一緒に乗車しましたが、田舎の電車でしたので…)」という体験を重ねることで、偏りは徐々にやわらかくなっていくこともあるのだと思います。
思考や認知も大切ですが、体験を通じた「きづき」は、それを書き換える力を秘めていると信じています。
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森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
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