部下の成長を促すフィードバック面談の実施ポイント

部下の成長を促すフィードバック面談の実施ポイント
部下のやる気を引き出す本質的なフィードバックの実践ポイントについて解説


上司が部下に与える影響は非常に大きく、フィードバックの改善で部下の成長に繋がる


フィードバックの必要性

ひと昔前の多くの企業では年功序列や終身雇用を前提とした働き方が中心であり、保証されたキャリアを歩むことが当たり前であった。
しかし、現代は多くの企業で先行きが不透明な経営環境下にあり、大企業でも経営の舵取りを間違えれば倒産してしまう時代である。
時代の変化に伴い働き方や仕事に対する価値観も大きく変わってきており、「自己犠牲」のもと一社でキャリアを積み上げるというよりも、仕事に対する「やりがい」や「ワークライフバランス」などの「自己実現」に重きを置いた働き方に変わりつつある。

時代や価値観は変化しているにも関わらず、"個人"よりも"会社"を軸にした「会社の指示だから従いなさい」といった上意下達な発言は部下のモチベーション低下や成長の妨げに繋がる。
そうならないためにも、上司は部下一人ひとりを理解した上で、仕事における部下の自己実現を支援する役割が求められる。

その一つの手法として「フィードバック」は非常に重要な役割を担う。
リーダーシップやマネジメントスキルと同様に上司に求める一つのスキルとして、本コラムで示す「フィードバック」について身に着けていただきたい。


部下の成長を促すフィードバックの実践ポイント

前述する部下の成長を支援するフィードバックを実践するためには以下の3つのポイントについて押さえていただきたい。

1.事実に基づくフィードバック
フィードバックは感覚や印象で行ってはならない。事実と異なるフィードバックであると部下が感じた場合、信頼関係を損なう可能性がある。部下の実際の働きぶりや行動を日頃から観察し、何が良くて、どこが改善点なのかを把握した上でフィードバックを行っていただきたい。
また、可能であれば観察の際に感じたことやポイントについてメモを取っておくこともお勧めする。

2.未来を軸にしたフィードバック
1を踏まえていただいた上でのフィードバックはどうしても過去に目が行ってしまいがちだが、未来視点で今後どのように改善していくのかや強みをより活かしていくのかについてフィードバックしていただきたい。事実を捉えるのはあくまでも部下の強みや弱みの確認であり、大事なことはそれをどのように部下の成長や行動に繋げていくかである。
特に指摘型のフィードバックになっていると感じた場合には過去に重点を置いたフィードバックになっていないか確認いただきたい。

3."聴く"ことを前提としたフィードバック
フィードバック面談は部下が中心に話している状態を作ることが理想である。なぜなら上司に言われて設定する目標や改善点は、どこまで行っても"上司に言われてやる"目標であり、受け身的になることが多い。
部下の成長を促すフィードバック面談において上司の重要な役割は質問を通じて部下の考えを深掘りすることや返ってきた回答をもとに部下の考えを整理することが大事である。
つまりフィードバック面談とは上司からの一方通行ではなく、相互のやり取りの中で進めていくものであることを認識いただきたい。
 

さいごに

フィードバック面談の実践ポイントについて解説したが、最も大事な事はフィードバック面談を円滑に進めるための上司の事前準備にある。
部下の良いところは?、改善ポイントは?、期待している事は?、部下の興味・関心は?、部下の将来目指しているキャリアは?など
事前に確認(もしくは上司側で仮説を立てる)した上でフィードバック面談に望むことが好ましい。

負担に感じるかもしれないが、それだけ部下のことを知り、向き合うことが信頼度を育み、言葉の伝わり方が変わり結果的にチームとして成果を上げることに繋がる。部分的でも効果的なフィードバック面談を実践いただきたい。


※本コラムは山中が、タナベコンサルティングの経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。

【コンサルタント紹介】
株式会社タナベコンサルティング HRコンサルティング事業部
チーフマネジャー
山中 惠介

総合ファッション企業で人事労務・採用・育成等のHR領域の実務経験後、当社へ入社。現場での実務経験を活かし「採用」「育成」「活躍」「定着」の4つをバランスよく取り入れた戦略人事の構築とクライアントに寄り添うコンサルティングを信条としている。社員が継続的に活躍・成長していく仕組みづくりを中心に、組織における人材育成・人材活躍も支援している。

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