「ソフトのS」を変えていく女性社員の力
先日ネットニュースにてこんな記事がありました。
「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」は、日本企業にとってすでになじみ深い考え方となっており、
「取り組んでいない」と答える企業の方が少数派だろう。しかしその「取り組み」は多くの場合、
女性の管理職比率や障害者雇用率の目標を達成する、という「数合わせ」に終わりがちだ。
私はこの記事を読んで、確かに「数合わせ」止まりの状態と思われる企業も少なくないと思いました。
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■真のD&Iとは
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私は、真のD&Iをこのように考えています。
【組織における一人一人が互いの強みを引き出し合い、
相乗効果で「これまで以上」の成果を出すこと】
女性管理職比率や障害者雇用比率の目標が達成
されていた上で、「これまで以上の成果につながっているか」
という視点で見た時、まだそこまで達していると
断言できる組織はそう多くないのではないでしょうか。
これから企業が生き残るためにも、
日本が世界の中で生き残るためにも、
一人一人の力を最大化して相乗効果生み出して、
それによって新しい価値を生み出し続けていくことが
求められていると思います。
その突破口となるのは、やはりマイノリティの立場で
当事者意識持っている人ではないかと思います。
これまでの働き方や仕組みの中では
力を思うように発揮できない人が、
新しいスタイルで自分の強みを発揮して
成果を出している姿を見せていくことが
周囲に良い影響を及ぼして変化するきっかけを
もたらしてくれるのではないかと私は思っています。
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■「ソフトのS」を変えていく女性社員の力
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私が技術系企業の女性管理職育成を軸とした
ダイバーシティ経営の推進支援を行う際には、
「7S」を元に、独自の「8つの切り口」で課題分析をしています。
<7Sとは>------------------------------------------------------------------------------------------------
アメリカのコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した理論で、
組織として企業がうまく機能しているかどうかを考えるうえで大切な、7つの要素(経営資源)のこと。
ハードのSとソフトのSに分類される。
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実際、巷で言われている通り、「ハードのS」は比較的変えやすいのですが、
やはり「ソフトのS」は変えにくいというのが実態です。
しかしながら、「ハードのS」を機能するためにも、
「ソフトのS」が変わらないことにはうまくいきません。
その「ソフトのS」を変える力を秘めているのが、
特に技術系企業においては一番わかりやすく
最も大きなマイノリティな存在である女性社員が
キーパーソンであると私は考えています。
その女性社員が管理職として影響力を持つ立場となって
「ソフトのS」を変えていく原動力になると
私自身の経験からも確信しています。
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■強い当事者意識から生まれた新しいマネジメントスタイル
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私がかつて技術系大企業で管理職をしていた頃、
職場環境は残業は当たり前で、管理職は残業必須という
文化がなんとなく根付いているような空気を感じていました。
当時の私の部下は、育児中の方、心の不調で
投薬治療中の方、そしてこだわりが強く一部業務以外は
対応が難しい方といったメンバーで、結果として部下が
対応しきれない業務は全て私が引き受ける形で
なんとかその日その日を乗り切っている状態でした。
そんな中、自分の親の介護が始まって、
どうしても残業ができなくなってしまったのです。
とにかく今いるメンバーで全員の力を最大限引き出すため、
全員で話し合い、私自身も新たなマネジメントスタイルを
試行錯誤し、限られた時間で生産性を高めた結果、
残業ゼロで、成果2倍という成果を出すことができました。
その時、かつての男性上司から
「チーム全員が残業しないで成果出せたことはすごいね」
と言われて、さらにこんな風におっしゃっていました。
「細木さんがこれまでにない新しい形のマネジメントスタイルで、
無理なく成果を出せるというのを示してくれた、
すごくいい女性管理職のロールモデルだな」
その後、上司は女性活躍推進に対してより理解してくださるようになっていきました。
もしかすると、私の管理職としての新しいマネジメントスタイルから
女性の力を組織に取り入れて成果を出すための
より具体的な活用方法を自分の中でイメージできたのかもしれません。
さらに、部下の女性社員からは、
「今まで出会ったことのないタイプの管理職が細木さんでした。
私も細木さんみたいな管理職なら、なってみたいと思います」
とおっしゃってもらえて、とても嬉しく思ったのを覚えています。
このように、周囲に良い影響力を発揮して、
組織自体も変えられる力を持っているのが
女性社員、女性管理職ではないかと思っています。
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■私が次世代女性リーダー育成にこだわる理由
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もちろん、組織のあらゆる人に対して良い影響を
与えられるわけではないと思います。
しかし、7Sの「ソフトのS」を変える突破口になり得るのは
現在ダイバーシティ経営改善コンサルティングで関わっている
企業様を見ても、やはり女性がそのきっかけとなると
日々手応えを感じています。
前述の通り、私自身の強い当事者意識がきっかけとなって、
「いままでの働き方では成果につながらない!」と
自チームの改革に本気で取り組んだように、
ダイバーシティ推進も、ただ女性管理職比率等を
上げるための数合わせではなく、真の意味で、
ひとりひとりが持つ強みや特性を引き出しあって、
チームとして最大の成果を出すために取り組むことが
重要だと考えています。
そのために、特に技術系企業において
マイノリティとしての当事者意識を持っているであろう
女性の人たちが自ら突破口となって、組織変革をもたらす
存在となると信じて、私は次世代女性リーダー育成に
こだわりを持って取り組んでいます。
会社のマイノリティな存在である女性たちの
新しいマネジメントスタイルによって、今までにない視点が
それまで当たり前とされてきた組織運営や経営視点に
融合されることで、「これまで以上」の会社成長が
もたらされることが、私が目指す「真のD&I」です。
そんな女性管理職の働く姿が、組織の中で働く人々に仕事のやりがいと感動を与え、
全ての人が安心して成長できる日本の未来へと繋がっていくと私は確信して、
これからも活動をし続けていこうと思っています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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