一人一人の力を引き出すマネジメント〜仕事の任せ方
管理職のマネジメント力が思うように発揮できず
部下の管理・育成まで手が回らないままでいると、どうなるでしょうか・・?
部下から不平不満が出たり、離職へつながってしまったり
チームとして仕事を進める上で多大な影響が及ぶことは
容易に想像がつくかと思います。
私が今回相談を受けた大企業の人事担当者様は、こんなことでお悩みでした。
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■マネジメントに不慣れな管理職
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管理職Aさんの元へ配属した社員は、1年足らずで離職したり、メンタル不調になってしまうのです。
Aさん自体は仕事もできてチャレンジ精神があり、新しいことへ挑戦するタイプなのですが、
それが部下にはプレッシャーになっているのでしょうか。
***
私は実態把握のため、Aさんの部下全員と個別面談を実施し、
Aさんのマネジメント力に課題があると推測しました。
個別面談を通して、Aさんの関わり方や姿勢において
いくつか気になる点がありました。例えば、
・部下は自分と同じだけ仕事ができると思っている
・自分目線で指示伝達をするにとどまっている
・部下の持つ個性や特性を把握しきれていない
これは即ち、【仕事の任せ方】が思うように
できていない、ということだと確信したのです。
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■「突然新しいことを始める上司」の特徴
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管理職のAさんとも話をする機会があったのですが、
Aさんは会社貢献するため常にアイディアを考え、
即実行に移す素晴らしい行動力の持ち主でした。
その姿勢は社員の見本となるものでしたが、
残念ながらAさんの部下全員が、
「突然新しいことを始めるのでついていけない」
と困っていたのです。
もちろんAさんは部下に自身の考えや方針を
伝えた上で指示を出していたのですが、
Aさんは「自分目線」で伝えるにとどまっており、
相手の目線や立場、状況まで考えた上での
情報伝達には至っていない状況でした。
Aさんのように「相手も自分と同じようにできるはず」
と思って部下と関わっている管理職の方も
おられるかもしれません。
しかし、そのままでは管理職として
部下一人一人の力を引き出すマネジメントまで至っていないのです。
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「知っている」と「できる」の差
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管理職の方は、少なくともマネジメントの研修を受けたり
書籍を通してマネジメントに関する知識を得ています。
しかし、いざ現場でその知識を活かして
実際の業務で使うところまでは活用しきれて
いないように思います。
例えば、今回のAさんが部下マネジメントにおいて
おそろかにしてはいけない最大のポイントが
【仕事の任せ方】でした。
少なくともAさんは、
●自分が考えていること(そこに至るまでの背景も含めて)
●自分が譲れないポイント(守って欲しいこと)
●部下に任せたい部分(自由にアイディアを加えて欲しいこと)
これらの情報を部下が受け取りやすい形で
共有する必要がありました。
さらに、部下に仕事を任せた後は
「任せっぱなしにしない」
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ことが重要です。
部下に任せた仕事の方向性は正しいか確認し、
部下が上司に相談しやすい雰囲気や仕組みなど
環境を整え、上司側からコミュニケーションを
取っていく必要があります。
とはいえ、管理職という役割を担う多くの人々のうち、
正しく仕事を任せて部下を活かせている人は
一体どのくらい存在するのでしょうか。
十分なマネジメント力を備えている管理職が多ければ、
「部下がいうことを聞かない」というお悩み相談や、
「上司の指示は理不尽だ」という部下の不満の声は
私の元に届かないのではないかと思うのです。
このように、マネジメントについての知識があっても、
実態に合わせてどのようにマネジメント力を発揮するかには
まだまだ乖離が大きいのが現実なのかもしれません。
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■一人一人の強みや価値観に合わせる
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私は人材育成を主眼にした管理職育成サポートを行っていますが、
大型プロジェクトともなると100人超の対象者を一斉に育成することもあります。
全体に向けた集合研修となると、伝える内容が
一般論になりがちですが、対象者一人一人に強みがあって、
価値観があって、それらの特性を活かした上で
力を引き出す関わりは外せません。
だからこそ、どんなに大規模になっても個別相談を
常に受け付けて、それぞれ置かれた環境を踏まえた
マネジメントの具体的な取り組み方を二人三脚で
サポートし続けています。
私自身もそうでしたが、やはり知識や理論の
インプットだけではマネジメントはできません。
実行して、失敗して、反省して・・とPDCAを
何度も繰り返しながら身についていくものだと
私は痛感しています。
相手の力を引き出して、さらにチームとして
部下全員の力を融合するという具体的なやり方は、
研修で教えるには難しいものです。
私が企業に提供する研修や講演に必ず
「課題+フィードバック」
を組み込んでいる理由は、
具体的な理論に基づき、さらに上位の具体的なやり方で
確実に実行してもらうためなのです。
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相手によって、微妙に関わり方を変える
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マネジメントは、相手によって変えることが
必要だと思っています。
私は「支援型」のマネジメントスタイルをとっていますが、
関わる相手ごとに対応の仕方は微妙に変えています。
今後ますます人材不足となり、多様な価値観や働き方が増え、
組織全体として生産性高く働く必要性に迫られている今、
管理職層に求められるマネジメントの役割は
さらに大きくなっていくことでしょう。
個々の力を融合して、チーム成果を出すために、
一般的なマネジメント知識だけでは不十分です。
基本の知識をベースに自分の特性を活かした
オンリーワンのマネジメントを確立し、
多様な価値観を持つ相手ごとに絶妙な関わり方で
その人の力を引き出すようなスキルを身につけることが、
これからの管理職層の課題ではないかと思います。
- 経営戦略・経営管理
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- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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