逆説11, 会社は誰のものかと考えない(三方よしの精神)
会社は誰のものかという議論は尽きない。特に人事部門にとっては、会社は株主のものなのか、従業員のものなのか、といった話はよく出てくるだろう。
会社は株主のものであるといわれれば反論はできない。しかし、日本におい て、会社(商売)というのは、株式制度や金融の仕組みが出来上がる以前から一つの倫理観を持って運営されていたと考えることもできる。それは伝統的な価値観であり、江戸時代の商人である近江商人の「三方よし」の考え方に通ず る。「三方よし」とは、「自分よし」「他人よし」「世間よし」の 3 方のことを常に考えて商売をしていれば、やがてしっかりとした事業になっていくという考え方である。三方よしの考え方に習った訳ではないだろうが、多くの日本企業 は伝統的に、自社の利益だけ、お客さまの利益だけ、といった偏った考え方をしない風土を持っていたと言える。
これを人事部門が解釈するとすれば、日本企業はやはり「社員(自分)よし」 「顧客(他人)よし」「社会(世間)よし」という理念で運用していくべきだろうという発想にいきつく。会社は誰のものかという議論で短期の利益追求に没 頭するのではなく、人事部門は今やっている取り組みが本当に「三方よし」になっているかどうかをチェックする眼を持って欲しい。そうすれば、正しい回答を得ることができるであろう。
継続的に事業を進めたいのであれば、「三方よし」の考え方は必須である。自社の短期利益だけを追求した会社は、往々にして傲慢だと言われ市場からも社会からも追放される傾向にあるのは、最近の市場や金融の動向を見れば明らか であろう。
そこで、人事部門が「三方よし」を本当に追求しようとしたらどうなるだろうか。人事部門はその業務範囲を拡大して「人と社会」部門へ、その役割を変えていという仮説を持っている。当該企業における人と社会のあり方を考え抜いてより良い関係に持っていく。そのような人事部門がもっと増えて欲しいと願っているのは弊社だけではないはずだ。
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「人事の大学」を運営する株式会社JIN-Gの社長です/
ビジネス・ブレークスルー大学で准教授も務めます/
組織人事戦略コンサルタント
・株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
・ビジネス・ブレークスルー大学経営学部グローバル経営学科准教授
三城 雄児(ミシロ ユウジ) 株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
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