逆説3,プロダクトアウトにならない
マーケティングの世界では、売り手の論理でものごとを進めることをプロダクトアウト、買い手の意向に合わせながらものごとを進めることをマーケットインと区分する。そして、プロダクトアウトからマーケットインへの転換とい う文脈で解説されることが多い(注:最近では、買い手は何を買いたいかを十分に理解していないので、マーケットの潜在ニーズを売り手が創りだすプロダクトアウトの発想も見直されている)。
人事サービスにおける売り手は人事部門、買い手は経営者や従業員である。 ここでもやはり、人事部門の論理ではなく、経営者や従業員の意向に合わせたサービス提供が求められる。
しかし、多くの人事改革プロジェクトはプロダクトアウトである。人事部門 主導で人事部門のやりたいことを人事部門だけで検討して実行している。いや、うちはしっかり現場の声を聞いてやっていると言う人事部門の方もいるだろう。 だが、そのような方でも、せいぜい、インタビューを実施したり、現場部門のキーパーソンを検討プロジェクトに参加させたりするなどの対応をしているに過ぎない。やりたいことは既に人事部門で決まっており、人事部門の敷いたレールの上で、各部門の意見を聞いているだけである。
真にマーケットインの人事をしたいのであれば、何をするかを決める前に、 現場で何が起こっているのかを徹底的に調べあげることが重要である。何が起 こっているのかを事実として確認し、それら事実から何が言えるのかを徹底的に議論する。そのようなプロセスを経てでてきた課題は、おそらく各社各様で同じものは一つとない。そして、そこにぴったりと合う解決策は、世の中に最 初から用意はされていない。自ら考え抜かなければならない。他社事例の適用や業者の提供するコンテンツを使っても効果は限定的である。つまり、プロダ クトアウトでは通用しないのだ。
マーケットインの発想で人事をするのであれば、社員意識調査は尐なくても 1 年に 1 回以上は実施したい。また、その際にはアンケートをとるだけではなく、 インタビューやワーキングセッションを織り交ぜながら、人事サービスの受け手である経営者や従業員の声を聞くことが重要である。答えは書籍やインターネットにはない、現場にある。
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「人事の大学」を運営する株式会社JIN-Gの社長です/
ビジネス・ブレークスルー大学で准教授も務めます/
組織人事戦略コンサルタント
・株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
・ビジネス・ブレークスルー大学経営学部グローバル経営学科准教授
三城 雄児(ミシロ ユウジ) 株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
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