リーダーの“らしさ”を尊重する組織づくりの一歩
先日、ある学校法人の管理職の皆さまを対象に、ストレングスファインダー(R)を用いたリーダーシップ研修を実施しました。テーマは「自分らしいリーダーシップの発揮の仕方」。ご自身の上位資質を起点に、これまで無意識だった強みに目を向け、それを組織の中でどう活かしていけるかを考えていただきました。
私たちはふだん、自分の思考や行動の傾向を「当たり前のもの」として受け止めています。だからこそ、自分にとって自然な振る舞いが、他者にとっては理解しづらいものであることに気づかないことも多くあります。
研修では、典型的なすれ違いの一例として「活発性」と「慎重さ」の組み合わせを紹介しました。
「活発性」が高い人は、アイデアが浮かぶとすぐに動き出したくなります。スピード感と実行によって前に進むことに価値を感じます。一方、「慎重さ」が高い人は、判断において想定外のリスクがないか、結果にどんな影響があるかを見極めてから行動しようとします。
この2つの資質は、組織にとってどちらも必要な要素ですが、価値を置くものが違うため、すれ違いが起きやすくなります。「活発性」の人は「なぜそんなに迷うのか」と感じ、「慎重さ」の人は「なぜあんなに早く決めるのか」と不安になります。けれど、お互いの資質の働き方とその根底にある動機を理解すれば、それは単なる違いではなく、チームの中で補い合える視点であることが見えてきます。
こうした理解を促すために、研修では「プロファイリング」という技術も用いています。これは、複数の資質がどのように作用し合って、その人特有の思考や行動につながっているのかを読み解くものです。資質を単体で見るだけでは捉えきれない強みや傾向を、より立体的に明らかにすることができます。
プロファイリングを通じて得られるのは、単なる情報ではなく、体験に近い実感です。
「自分のことをきちんと理解してもらえた」という安心感。
「これでよかったんだ」と思える自己肯定感。
「なるほど、だからあの人はああいう反応をするのか」と腑に落ちる他者理解。
こうした実感が、組織内のコミュニケーションを根本から変えていきます。互いの違いを指摘し合うのではなく、持っている資質をどう活かし合えるかという前向きな視点が生まれてきます。
その結果として、管理職同士の関係性も深まり、部下との関わり方も、「できていないこと」より「今ある力をどう活かせるか」へと変わっていきます。「なぜできないのか」ではなく、「どうすればその人が力を発揮できるのか」。そうした視点の変化が、マネジメントの手応えにも直結していきます。
自己理解と他者理解を基盤とした関係づくりは、スキルやノウハウ以前に必要な組織づくりの土台だと、今回の研修を通してあらためて感じました。

このコラムを書いたプロフェッショナル
知識茂雄(チシキシゲオ)
ガイアモーレ株式会社提携講師(株式会社ハート・ラボ・ジャパン)
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。

知識茂雄(チシキシゲオ)
ガイアモーレ株式会社提携講師(株式会社ハート・ラボ・ジャパン)
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。
得意分野 | キャリア開発、リーダーシップ、コーチング・ファシリテーション、チームビルディング、コミュニケーション |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 熊本市 |
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