#3 休職を予防する仕組みやポイントとは
1. セルフケアとラインケアを具体的にどのように取り組む?
社員のメンタルヘルスを保つためには、教育や予防だけではなく、日頃から共に働く中での管理職のサポートや部下である社員自身による取り組みも大切です。部下である社員自身それぞれが、日頃から取り組めることを紹介します。
<部下/社員自身がセルフケアとして取り組める2つのこと>
①認知行動療法的アプローチ
セルフケアの目的やポイントは既に説明しましたが、ここでは具体的なケアの1つとして効果が期待される、認知行動療法を紹介します。
認知行動療法とは、自分の考え方や認知などを客観視し、見直すべき認知の癖を見定め、今後どのような考え方をすれば上手くいくかを検討する方法です。心理療法として臨床現場で用いられている認知行動療法の考え方を応用すれば、普段の生活や仕事にも手軽かつ効果的に取り入れることができます。
②EAPを活用した事例
EAP(従業員支援プログラム)とは、心理学や行動科学の視点から、職場のパフォーマンス向上などに対し、解決策を提供するプログラムです。 社員自身が自分の異変に気づいていても、同僚や上司に状況が伝わらない場合や、うまく伝えられない場合はEAPを活用することも選択肢の1つです。ここではテレワークの職場で起きた具体的な事例を1つ紹介します。
この例では、不調を感じた時にEAPを利用したことで、医療機関という選択肢が選べるようになりました。本人が辛さを感じている時は視野が狭くなっていることが多いため、ほかの選択肢が思いつかないこともあります。また、手元にある選択肢を選ぶことが難しい場合も考えられます。 そのような状況においてEAPが効果をもたらすことも考えられます。EAPの利用という選択肢をより選びやすくするためには、社員へのEAP周知の徹底や、利用しやすいようなガイダンスや呼びかけが有効です。
2. ラインケアとして管理職が日常的に取り組む2つのサポート
職場で管理職が日常的にラインケアを実践することも欠かせません。以下では、管理職ができる具体的な2つのサポートを紹介します。
①傾聴
管理職は普段から部下からの相談に応じたり、悩んでいる部下に話を聞くなどの傾聴が重要です。 傾聴では、部下の意見を否定したり、早々にアドバイスをするのではなく、部下の話や気持ちをしっかりと受け止め、丁寧に、積極的に耳を傾けることが大切です。
積極的傾聴により、部下の資質や考え方、行動様式に対する理解が促進されます。部下の気持ちを受け止めることは、部下が管理職に対して「自分のことをわかろうとしてくれている」と感じることにつながり、管理職と部下との信頼関係の構築も促進します。
②情報提供
強いストレスや負荷を抱えている部下に対しては、部下の状況に応じて次の行動の後押しとなるような情報提供をすることも大切です。 この後で紹介する認知的アプローチなどのセルフケアの方法や、相談窓口、産業医や専門家等へ繋ぐための情報を提供することで部下が抱えている問題の改善に向かうことができます。
※本コラムは、ピースマインドの人事・労務向けコラム『はたらくをよくするお役立ち情報』に掲載している記事を転載したものです。
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大手不動産デベロッパーで長年経営企画業務を担当。ヘルスケア事業の立上げに携わったことを契機にメンタルヘルスケア業界に転身。従業員のメンタルヘルスケアや企業の職場改善、医療機関の経営再建に従事した後に、営業部長を経て現職。
吉野 学(ヨシノ マナブ) ピースマインド株式会社
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