ハラスメント相談担当者をアサインするときに気をつけたいこと
企業内で担当者をアサインするときに気をつけたいこと
2022年4月より中小企業に対してもパワーハラスメント防止対策が義務化されました。企業が講ずべき措置の内容の一つに、相談体制を整え、社員に周知することが含まれています。これから窓口体制を整えるという企業も多いと思いますので、このコラムでは企業内でハラスメント相談担当者をアサインするときに気をつけたいポイントをお伝えしたいと思います。
同性の担当者を入れる
ハラスメントは非常に微妙な心の問題であると同時に、会社にとってはリスクをはらんだ大きな問題です。そのため、相談者が安心して話しができ、必要な知識を持ち、問題解決につなげられるような人をアサインする必要があります。企業内に何人か相談担当者がいる場合は、できれば相談内容ごとに担当者は誰がふさわしいかを考えて、アサインするようにしてください。気をつけたいポイントは「同性の担当者を入れること」です。例えば、セクハラの相談で「具体的にはどういうことをされたり、言われたりしたのですか?」と聞かれたときに、相手が異性だと恥ずかしくて言いにくいと異性の担当者に話すことに抵抗を感じる人も少なくありません。以前、私も痴漢の被害にあい、警察に届けに行ったときに、担当の男性警察官に、「具体的にどういうことを言われたのですか?」と聞かれ、卑猥な言葉を言われたことや行動を伝える際になかなか言い出しにくかったのを今でも覚えています。男性の相談担当者からしても「どこまで聞いていいのか?」「深く聞くことで傷つけてしまうのでは?」という心配から具体的に聞きづらいと感じる方も多いようです。特にセクハラの相談は、性的関係を迫られるようなケースや、ストーカー行為など、話すこと自体に苦痛を伴い、悔しさ、恥ずかしさ、情けなさ、怖さなど様々な感情が入り混じっています。相談者と同性の担当者が対応することで、気持ちをわかってもらえそうと感じ、話す抵抗感も弱まることが考えられます。相談窓口担当者は男女一名ずつアサインすることをお勧めしています。企業の相談体制によっては、男性だけというところもあると思いますが、その場合は、誰か女性の担当者で話しやすそうな人を1名任命しておき、話しにくいことがあれば女性の担当者が話しを聞くこともできることを伝え、相談者が希望したらその人につなぐようにするようにしましょう。
管理職が相談担当者の場合
企業によっては管理職の方が相談担当者になる場合がありますが、できれば上位の役職者の人は外した方が賢明です。職場のパワーハラスメントは上位役職者の方が加害者となるケースが多いことと、人事権を持った管理職の方が担当者だと「こういう相談をしたら自分の評価が下がるのではないか」「自分が飛ばされるのではないか」と相談者が感じることがあり、相談を躊躇することも考えられます。できれば、上位役職者の方でない方が良いですが、適任者がいない場合は、管理職が相談担当者だった際に受ける印象や、言いづらくなることを十分考慮し、面談のときに、不利益になるようなことはないことを十分伝えた上で相談対応を行う必要があります。
相談は二人体制で行うのが望ましい
できれば相談は二人体制で話しを聞くことをおススメしています。相談担当者の捉え方の違いや、言った、言わないなど相談内容の的確な把握のため、可能であれば二名体制で相談対応する方が望ましいです。相談を二名で聞く場合は、相談者にとって威圧的にならないよう、「相談内容を的確に把握するため、私○○と○○の二名でお話しをお聞きします。よろしいでしょうか」と相談者に了解を取ってから話しを聞き始めるようにしてください。
また、企業の体制によってはどうしても1人で話しを聞くというケースもあるかと思います。その場合は、面談の終了時に聞いて内容に間違いがないか、相談者に再度確認するようにしてください。
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職場コミュニケーションとメンタルヘルスのエキスパート
~心地よい働き方を促進し、職場環境を改善~」
日本アイ・ビー・ エム(株)にて25年勤務後、医療系IT企業でのコールセンター管理職を経て独立。コミュニケーション・ハラスメント・メンタルヘルスに関連した行動変容につながる研修を企業で行っています。楽しくやる気が出る研修はリピート率も高い。
村田 早苗(ムラタ サナエ) ガイアモーレ株式会社提携講師 (株)スマイル・アンド・エール 代表取締役
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