クレド
クレドとは?
クレド(Credo)とは「信条」「志」「約束」を意味するラテン語で、企業活動の拠り所となる価値観や行動規範を簡潔に表現した文言、あるいはそれを記したツールを指します。
簡潔で、具体的・実践的な行動規範
現場に浸透させ、行動に落とし込む努力が必要
マネジメントの現場にクレドを導入し、コーポレートガバナンスの向上に成果をあげる企業が増えています。表現が抽象的になりがちな従来の社是・社訓の類と違い、クレドはより具体的で実践的。メッセージを掲げるだけでなく、その内容を組織全体に浸透させ、社員一人ひとりの行動に落とし込む“しくみ”を伴うのが大きな特徴です。
クレドは1943年、米国の医薬品・健康関連用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の3代目社長ロバート・ウッド・ジョンソンによって初めて考案されました。「我が信条」と題するその文書は、日本語にして1000字にも満たない、A4の紙1枚に収まるきわめて簡潔なものです。82年、同社の製品に何者かが毒物を混入させた「タイレノール事件」が発生した際、同社がこの「我が信条」に基づいて迅速に事態収拾を図り、消費者の信頼を守ったことから、クレドの効用は全米で広く知られるようになりました。「我が信条」の1行目には「我々の第一の責任は、すべての顧客に対するものである」と明記されていたのです。
クレドを導入している企業では、社員はトップや上司の意向に従うのではなく、クレドの示す行動規範に従って自律的に行動することが求められます。そうすることで社員の自主性やモチベーションが引き出され、仕事への誇りも醸成されるのです。クレドがどれだけ実践されているか、クレドが現場の実態に則しているか、マネジメントは検証のしくみを整え、改善へとつなげていかなければなりません。J&Jでは全従業員に対するアンケートや、クレドの浸透状況について議論する対話集会が提起的に実施されています。
なぜ、いまクレドなのか――背景に、CSRやコンプライアンスが厳しく問われているにもかかわらず、不祥事がひきもきらない日本企業の現状があることは言うまでもありません。
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