個人請負労働者
個人請負労働者とは?
企業と雇用関係を持たない個人請負の契約労働者を言います。最近、急増していると言われますが、労働基準法上の労働者に該当しないため、労働法などの保護の対象にはなりません。
企業と対等な「事業主」と見なされるため
労働基準法や労災保険法は適用されない
「個人請負」という働き方は、多くの職種で以前からありました。たとえばフリーの編集者やデザイナー、生命保険会社の外交員、フランチャイズ店長、建設現場の鉄筋工などです。最近ではIT技術の発達によりフリーのコンピュータ技術者など新しい職種が増えています。働く人も高度な専門知識を持った人から、空いた時間に単純業務を請け負う人まで多種多様。また複数の企業をかけ持ちする人もいれば、1社専属で働く人もいます。その数は全国に50万人とも200万人とも言われていますが、公的な統計資料が皆無に等しく、実態はあまりわかっていません。
企業が個人請負を活用するメリットとして、まずあげられるのは、個人請負労働者との間に雇用関係が存在しないため、社会保険や社内の福祉厚生を提供する義務がないという点です。また、労働時間の調整が容易で、社員を使うよりコストがかからず、業務量に応じて調整がしやすいという利点もあります。さらに、自社にないノウハウや高度な専門知識を活用できる点も、企業にとってのメリットの1つと言えるでしょう。
一方、労働時間に縛られず自分のペースで働きたい人や、企業の枠を超えて能力を生かしたい人にとっても、個人請負は魅力的な働き方と言えます。しかし問題がないわけではありません。社員やパートが企業に雇われているのに対し、個人請負は企業と対等の「事業主」と見なされるため、労働者保護のための労働基準法などが適用されないのです。労働者なら仕事中にケガをすれば労災保険の対象となり、賃金も最低水準が定められ、勤務先が倒産しても給与は一般債権より優先的に支払ってもらえますが、個人請負の場合は何の保証もありません。
高い専門能力で高額の年収を稼ぐ個人請負労働者なら保護の必要はないでしょう。しかし、そうした人はほんの一握りです。社員やパートと変わらない仕事をしている人については「実質労働者」として必要な範囲で保護すべきとの指摘も出ています。
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。