本誌特別調査
2017年度労働時間総合調査(労務行政研究所)
所定・総実労働時間、休日・休暇、時間外労働等の最新実態と長時間労働削減への取り組み状況
3 年次有給休暇の取得状況
年休の新規付与日数[図表11~12]
全従業員平均で18.3日
最近1年間(16年度)における年休の新規付与日数(管理職も含めた全従業員平均)は、全産業・規模計で平均18.3日となった。
規模別に見ると、1000人以上19.3日、300~999人18.8日、300人未満16.8日で、規模が大きいほど新規付与日数も多くなっている。産業別に見ると、製造業19.0日、非製造業17.7日で製造業のほうが多い。ただし、新規付与日数は各社の労務構成(平均勤続年数)にもよるため、留意いただきたい。
取得日数[図表11~12]
年間9.6日で、15年度から増加
取得日数は年間9.6日となった。集計(回答)企業は異なるものの、前15年度(9.2日)から増加した([図表14]参照。推移については後述する)。
規模別に見ると、1000人以上10.8日、300~999人9.3日、300人未満8.4日で、規模が大きいほど取得日数は多い。
取得率[図表11~12]
平均52.5%で、15年度から3.0ポイント上昇
新規付与日数に対する取得日数の割合を、“年休取得率” として算出した。年休取得率の算出に当たっては、繰越分と新規付与分を合わせた付与日数全体(保有日数)で取得日数を除すという考え方もある。しかし、「新規付与から何年目まで繰り越しを認めるのか」など、企業によって取り扱いの異なる繰越分を含めると、取得率が比較しづらくなるため、新規付与日数を基に算出するのが通例となっている([図表14]の厚生労働省「就労条件総合調査」も同様の算出方法を採用)。
最近1年間(16年度)における年休取得率は、全産業・規模計で平均52.5%、前15年度(49.5%)より3.0ポイント上昇した。
規模別に見ると、1000人以上56.0%、300~999人49.5%、300人未満50.0%と、1000人以上の取得率が最も高くなっている。
産業別では、製造業が58.9%と6割近くを占めるのに対し、非製造業は45.8%と、製造業を13.1ポイントも下回っている。非製造業において、年休取得が進んでいないことが明らかである。
取得日数の分布状況[図表13]
「10~11日台」が23.6%で最多
年休の取得日数は、最低0.5日から最高18.2日まで、幅広く分布している。[図表13]の年休取得日数の分布を見ると、全産業では「10~11日台」23.6%が2割台のほか、「8~9日台」17.8%、「12~13日台」16.3%となっており、8~13日台に6割近く(57.7%)が分布している。
取得率の分布状況[図表13]
40~60%台で全体の約6割を占める
取得日数と同様、年休取得率についても最低2.6%から最高92.4%まで幅広い分布が見られた。なお、取得率は、前述のように「新規付与日数に対する取得日数の割合」を算出しているので、留意いただきたい。
分布は、「50%台」21.6%、「60%台」20.7%、「40%台」17.3%の順に多く、40~60%台に全体の約6割(59.6%)が分布している。
産業別に見ると、製造業では「50%台」が32.0%で最も多いが、非製造業は「40%台」の21.0%が最多で、分布にバラつきが見られる。取得率60%以上は製造業では46.6%、非製造業では26.7%である。一方、取得率40%未満は製造業では7.8%なのに対し、非製造業では41.0%である。取得率は、非製造業では製造業よりも低いほうにシフトしていることが分かる。
年休取得状況の推移[図表14]
15年度と比べ、16年度は取得日数・取得率とも増加
[図表14]に、当所調べによる年休取得状況の11年度以降の推移を示した。規模計では、新規付与日数は18日台、取得日数は8.7~9.6日と9日前後、取得率は46~50%台である。16年度は前15年度と比べて取得日数・取得率とも増加しているものの、長期的な傾向としてはあまり変化がない。政府は、2010年6月に策定した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を踏まえた「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、2020年までの目標値として、年休の取得率を70%とすることを掲げているが、目標達成にはより一層の取り組みの強化が求められるといえる。
年休取得率を規模別に見ると、1000人以上の大手では、13年度48.1%、14年度49.2%と、それまでの50%台から低下傾向にあったものの、15年度は54.2%と5割台に戻り、16年度では56.0%とさらに上昇している。一方、300~999人と300人未満は年度によりバラつきがあるものの、いずれも40%台で推移しており、300人未満では16年度50.0%と5割となった。
併せて示した厚生労働省の「就労条件総合調査」(調査対象は常用労働者が30人以上の民営法人から、産業、企業規模別に一定の方法により抽出)を見ると、規模が大きいほど年休取得率は高く、1000人以上が50%台、1000人未満の規模がいずれも40%台となっている。1000人以上と30~99人では、取得率に11.0ポイントの差が生じている。
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