支配型リーダーシップからサーバントリーダーシップへ
ひたすら頑張る、はもう古い!
時代は大きく変わり、若い世代の働く意識も大きく変わりました。そして簡単に売れない時代にもなってきました。つまり、根性論で「とにかく頑張る」という時代はもう既に終わっているのです。
しかし経営層や管理職層にとっては、自分たちの成功体験は「とにかく頑張る」ことで得られたものが大きいので、どうしてもそこから離れられなくなってしまっています。
1「一生懸命」の概念が変わってきた!?
日本人に「一生懸命」とはどういうイメージか?という質問をすると以下のようなイメージを抱くそうです。
●苦しい中、努力し続けること
●逃げずに、辛いことでもやり遂げること
●筋肉トレーニングのように、自分の限界を超えること
これらに対し、欧米人に同じ質問をすると、全く違ったイメージを持っているそうです。
●ワクワクと楽しむこと
●笑顔で過ごすこと
●時間が経つのを忘れるほど、夢中になること
このイメージのギャップが、管理職層と若手層でも起こっています。管理職層の「頑張る」が若手にとっては「ナンセンス」に見えてしまうのです。そして次のような疑問や不満が生まれてきます。
●こんなに苦しい辛い思いをしてまで、この会社で働く意味があるのだろうか?
●こんなに頑張っているのに、楽しくないのは、この仕事が自分には向いていないからではないか?
●このまま頑張っても、自分が成長できるイメージが湧かない…。
そして離職が進んでいってしまうのです。
2 管理職になりたくないのは、上司像が支配型リーダーシップだから!
若手社員が管理職になりたくない理由として、上司像が支配型リーダーシップであるが故に、なりたくない若者が多いようです。
「結局威張り散らしているだけで…あんな風にはなりたくないな…。」
「陰ではいつも上司の悪口言ってるし、自分はやっぱり嫌われ者にはなりたくないな…。」
「自分の性格だと、あんな風なリーダーシップを発揮できそうにないし…。」
リーダーシップ研修で若手社員に「リーダーシップってどんなイメージ??どんな人?」と聞くと
以下のようなイメージをほぼ全員が持っています。
・率先垂範出来て、仕事も非常に出来る人
・発言権や影響力があって、いい意味でも悪い意味でも目立つ人
・ビジョンやゴールを明確にしてくれて、必要なアドバイスをきちんとくれる人
・周囲に気遣いが出来て思いやりがあって、調整力のある人
・先読みが出来て、いつも少し先をきちんと見て、リスクヘッジしてくれる人
・ダメなものはダメとしっかりと指摘してくれて、時々嫌われ役にもなれる人
・達成意欲が高く、情熱と意欲の溢れるバイタリティのある人
・上から下りてきたことを分かりやすく説明できる人
などなど。。。非常に優秀な人物像が挙がります。そして、「絶対そんな人は孤独だろうな…」と言う意見も挙がります。
「では、こんなリーダー皆さんなりたいですか?なれますか?」とさらに質問していくと、ほとんどの若手社員が「なりたいとは思うけど、なかなか現実的には難しそう…」「私は自分ではあんな人にはなれないと思う…」といった消極的な意見が飛び出てきます。
この若手社員が描くリーダー像、ものすごくハードルが高いですね。そんな非常に優秀な人材はなかなかいません。そしてそのようなリーダー像ではなくても、違うスタイルの管理職がいるのも事実です。
この若手社員が描くリーダー像、実は経営者像に非常に近いのです。もちろん経営者はトップリーダーなので、若手社員が描くリーダー像に近いことがいいことなのかもしれませんが、全ての管理職がこのリーダー像でなくても良いのです。
では、違うスタイルのリーダー像とは、どのようなリーダー像なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
3 支配型リーダーシップからサーバントリーダーシップへ。
厳しく上からのトップダウン式、つまり従来の支配型リーダーシップでは、もう今の時代は通用しません。つまりリーダーシップの在り方も変化をしていかなくてはいけません。
仲間や部下を下から支え、彼らに奉仕し、彼らの言動を応援するスタイルのサーバントリーダーシップが重視されるようになってきました。また、特に理念経営、ビジョナリーカンパニーを目指している企業にとっては、「1人の100歩よりも100人の1歩」を重視しています。
つまり、たった一人の強烈な支配型リーダーシップではなく、100人の支え合う応援しあうサーバントリーダーシップスタイルのほうが適しているのです。ここで、サーバントリーダーシップの特性やその影響について触れておきましょう。
4 サーバントリーダーシップの10の特性
サーバントリーダーシップを発揮するには以下の10の特性が必要となります。その特性は従来の支配型リーダーシップとはある意味真逆とも言える特性です。
1、傾聴
相手が望んでいることを聞き出すために、まずは話をしっかり聞き、どうすれば自分が相手の役に立てるのかを考える。また自分の内なる声(自分自身の望み)に対しても耳を傾ける。
2、共感
相手の立場に立って相手の気持ちを理解する。人は誰もが不完全であることを前提に立ち、相手をどんな時も全面的に受け入れる。
3、癒し
相手の心を無傷の状態にして、本来の力を取り戻させる。組織や集団においてはお互いにかけているところを補い合えるようにする。
4、気付き
常にアンテナを張り、鋭敏な知覚により、物事の本質を見る。自分に対しても相手に対しても気付きを得ることが出来る。また、相手に気づきの機会を与えることができる。
5、納得
相手とコンセンサスを得ながら納得を促すことができる。権限に依らず、服従を強要しない。
6、概念化
大きな夢やビジョナリーなコンセプトを持ち、それを相手に伝えることができる。
7、先見力
現在の出来事を過去の出来事と照らし合わせ、そこから直感的に将来の出来事を予想できる。
8、幹事役
自分が利益を得ることよりも、相手に利益を与えることに喜びを感じる。一歩引くことを心得ている。(利他の心)
9、成長への関与
仲間の成長を促すことに深くコミットしている。一人ひとりが秘めている力や価値に気づいている。
10、コミュニティづくり
愛情と癒しで満ちていて、人々が大きく成長できるコミュニティを創り出す。
5 サーバントリーダーシップの特徴とその影響力の違い
従来の支配型リーダーシップとサーバントリーダーシップでは、本人の特徴もそして周囲に与える影響も大きく異なります。各自が自立した組織、そしてビジョン経営には欠かせないリーダーシップとも言えます。
個々のリーダーシップスタイルがサーバントリーダーシップスタイルになれば、トップダウン式ではなく、巻き込む経営の仕方で全員参画経営が可能になります。大きなビジョンを掲げながら、しかしミッションやその戦略は個々の特性を活かした形です。
この巻き込む経営を実践することで、全員がワクワク夢中になりながら仕事を通じて、お客様へ、仲間へ、そして社会全体への奉仕を実感できるようになります。社員は自分たちの仕事に面白さを感じ、自分の言葉でそれを表現します。
そして部下へ、お客様へそれは伝播していきます。また、自分たちの仕事の成果に対しても、しっかりと責任を持つようになります。単なる売上を上げる、だけではなく、その結果お客様へ、社会へどのような影響を自分は与えられただろうか?といったことへの興味関心が向くからです。
そしてそれこそが、真の顧客満足に繋がっていくのです。つまり、顧客満足の高い会社は当然ながら従業員満足度が高く、従業員満足度が高いということはすなわち、ロイヤリティが高いのです。
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机上の空論ではなく、『現場で即使える!使って変化成長を実感できる!』をふんだんに盛り込んだ、『楽しく面白く笑いながら学ぶ』をメインコンセプトに、これまで100社以上で『成果の出る研修』を行ってきました。「共に汗を流す応援団」がモットー。
山口 しのぶ(ヤマグチ シノブ) 株式会社キャリアチアーズ 代表取締役
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