思わず担当者が案件を任せたくなる「3つの営業力」
案件を任せたくなる営業パーソンとは
先日、一部上場企業のシステム部に勤める課長職の友人A氏と話をしました。A氏のもとにはよくシステム会社の営業パーソンが訪れて様々な提案をしてくるそうなのですが、
「案件を任せたくなる営業パーソン」もいれば「残念な営業パーソン」もいる
という、興味深い話が聞けました。
A氏の話をまとめると、案件を任せたくなる営業パーソンの特徴的な動きとして次の3つがポイントになりそうです。
(1) 量を増やしている
(2) 質を上げている
(3) 視点を変えている
それぞれどういうことなのか、解説していきましょう。
■案件を任せたくなる営業力(1)
「量を増やしている」=積極的なアプローチをしているか
日々、多くの営業パーソンとやり取りをしているA氏ですが「“新規参入したい”と言いながらも、何度も足繁く通う営業はほとんどいないのが実情なんだよね」と漏らしていました。
詳しく聞くと、初回の訪問では意気揚々としていても、すぐに連絡がこなくなる営業パーソンが殆どなのだそうです。たとえ2回目の連絡があったとしても、半年以上の月日が流れて忘れた頃なんだとか。「その頃には、こっち側もその営業の顔を忘れているから、何か聞かれても答えにくいよね」と苦笑いを浮かべました。
まれに果敢にアプローチを続けてくる営業パーソンもいるようで、そんな営業パーソンにはふとした案件発生時に声をかけやすいのだそうです。
「やっぱり人間だから、何度もチャレンジしてくれる姿には心打たれるよね」
とのこと。
「日々沢山の営業が来て大変だね」と声をかけたのですが、「いや、実際はそうでもないよ」とA氏は首を振りました。「悲しいかな、新しい案件が発生した時にゼロから業者を探すなんてケースも多いんだ」という発言には驚きました。
A氏のような管理職の場合、最新情報の収集は欠かせないようで、上司からも「積極的に情報を集めなさい」と指示を受けているのだそうです。ですから、有用な情報をもらえるのであれば積極的に打ち合わせの時間を作るのだそうですが、思ったよりもアプローチは少ないのだとか。
どれだけツールが進化しようとSNSが発達しようと、やはり人です。いかに「価値ある情報を持って定期的に通うことが大事か」ということだと思います。
私が感じたように「たくさんの営業と会っていて忙しいだろう」などという思い込みでお客様から足が遠のいてしまうのは、勿体ない話ですね。
■案件を任せたくなる営業力(2)
「質を上げている」=マネタイズや戦略を一緒に考えているか
意外に感じたのですが、多くの営業パーソンが口にするのが「それは出来ません」という言葉なのだとか。
例えば戦略的な話になってくると「それはコンサルティング会社さんの範疇なので、うちでは出来ません」と及び腰になってしまうケースも多いとA氏は嘆きます。
「上司や役員に説明する材料として、ポイントを訴求するような資料を一枚でも入れてもらえないでしょうか?」と営業パーソンにお願いをしても「ほぼ出てきたことは無い」と言うのです。「その辺りを一緒に考えられる営業が居たらとてもありがたいんだけど、現実はそうはいかないよね」と、ため息交じりにこぼしていました。
単に自社商品を説明して終わるのではなく、お客様のビジネスにおけるマネタイズや戦略について一緒に考えたり、担当者の上司に説明する資料を肩代わりして作るような動きが求められているということですね。
営業というのは物を売って終わりではなく、「お客様の目的を達成するためのお手伝い」と考えれば当然かも知れません。お客様の目線に立ち、一緒に将来を描いていけるような営業を心がけたいものです。
■案件を任せたくなる営業力(3)
「視点を変えている」=タイミングは常にあると考えているか
営業活動をするタイミングも重要です。A氏のようなシステム業界であれば“刷新”のタイミングなどがそれにあたるかも知れません。しかしA氏は、「タイミングなんて常にある、と考えている営業が強い」と言います。
「営業はいつもシステム刷新のタイミングをうかがって、それに向けてアプローチしてくるし、そこが一番のチャンスだと思っている節があるんだよね」とA氏。それで正しいのでは?と首を傾げましたが、そうではありませんでした。
「もちろんそのタイミングは、実際に提案を複数社から頂くことになるから、間違ってはいない。でも、本当は日頃からその他にもたくさん案件はあるんだ。具体的には言えないけど、切り出したい業務はたくさんあるんだけどね」と言いながらA氏は眉をひそめました。
確かに、お客様のニーズというのは顕在化されているものだけではないはずです。それをどれだけ引き出せるかは、「タイミングは特定されているもの」という営業パーソンの視点をずらすことからスタートしなければいけないかも知れません。
実際のところ「タイミングはいつでもあるんだ」という見方が出来れば、日々の訪問の際にいかにニーズを引き出すかと工夫をこらすようになるのではないでしょうか。
以上、あくまでシステム会社の課長であるA氏の例でしたが、多くの窓口担当者が感じていることでもあるのではないかと思い、ご紹介させていただきました。ぜひ皆さまも、営業活動の際に意識してみてはいかがでしょうか。
※この記事は『アルヴァスデザインHP メンバーズ・コラム』に掲載された内容を転載しています。
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