選択肢に込められた創造性と学び
30年近く前「たほいや」という深夜番組に夢中になっていました。この番組は当時5人のタレントが広辞苑に掲載されているマニアックな言葉を拾い出し、メンバー全員がその言葉から連想するニセの選択肢を作って互いに本物の答えを探り合うというゲーム番組です。
このゲームの面白さはメンバー全員が問題の出題者であり、同時に解答者でもある点です。しかも出題者の言葉に対するセンスや知性がはっきり示せて、他の解答者にニセの解答を正答と思わせる選択肢づくりは実に美しく、私には驚きでした。
一方、テストにおける選択肢づくりには解く側の理解度を測る様々な工夫が盛り込まれています。特にその構成というのは実に巧妙にできていて、例えば合っているものを選ばせるのか、それとも間違っているものを選ばせるのかで設計の視点は変わります。
また、選択肢それぞれの作りにおいて理解を問うのか、あるいは活用を問うのかで設問レベルが変わってきます。更に選択肢同士の違いの作り方にもいくつかのパターンが存在し、テストづくりとはいえ、そこにはたくさんの変数があり、なかなか奥深いものがあります。
このようにテストづくりには「たほいや」のような創造性に働きかけることで遊び心や知性が発揮される特性と、作り手の知識量や思考方法に働きかけることで理解度や思考レベルや学びが可視化される2つの特性があります。
テストは一般的に他者が事前に作った設問があって、評価する側が受験者の理解度を効果測定するためのツールとして活用されています。もちろんこの使い方は1つの物差しの基準で集団の理解度を測る上では最適なツールです。
しかし、もしこの効果測定を1つの物差しで測るのではなく、個々の学びから学び手自身が問いを生成するプロセスに変換できるとしたら、そこには学び手の思考力や創造力がふんだんに盛り込まれたプレイフルな体験になっていくはずです。
そして、更にこのテストづくりを社内教育の中で展開できる専門家やワークショップが増えていったら、テストを学びにできる新しいトレーニング分野を切り拓けるのではないかと考えています。
私が考えるテストフォーミュレーションとは、このテストづくりによって社内の研修や学び、そして仕事までもが創造的で且つ学びに溢れた探求的な世界を思い描いています。
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大人と子どもの学び方には違いがある一方で、多くの共通項があります。その共通項の1つである「主体的に学ばせる動機つけのメソッド(教え方のスキル)」は、管理職の部下育成や専門社員の教え方の向上など、あらゆるビジネスパーソンに役立っております。
細谷幸裕(ホソヤユキヒロ) 株式会社 市進コンサルティング 代表取締役
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