人事考課その4
MBOが上手く運用できていない理由、それは一言で言えばトップの理解不足にあります。MBOを人事考課で活用する方法は、組織の貢献度を目標という形で評価基準にする点で、理にかなっているのですが「人事」と名前が付いたために、これは人事部門の管轄と思われたためか、経営層に正しく理解している人が少ないように思います。会社への貢献について、社員一人一人が考え、トップの意思を咀嚼しようとするこのMBOは経営管理ツールとして極めて重要な意味を持っています。
MBOを意識している経営トップは、部下が展開しやすいように、組織の方向性を明確に示そうとします。その際、損益目標だけでなく、いくつかの中長期的な目標を掲げます。逆に、MBOを経営管理ツールとして認識できていない経営者は、抽象的なスローガン、あるいは損益目標だけを方針として掲げます。
その他にも、目標設定面談を上司と部下、二人だけのブラックボックスで決定していると、社員相互に「自分だけが難しい目標を立てているのではないか」という疑心暗鬼が起こります。放っておくと、いつの間にか相互不信を募らせる制度になってしまうことがあります。これは、一人ひとりの目標を組織としてオープンにしていないことが原因です。面談の手順を変えることで、組織内で各自がどのような目標を持ち、自分はその中でどのように位置づけられるのか、を明確に知ることができるようになります。
どのような制度であっても、理解不足や運用に問題があればうまく機能させることはできません。人事考課制度の中でMBOを活用するには、こうした注意点を踏まえて運用していただくことをお勧めします。
次回は、MBO以外の評価制度について考えてみたいと思います。
- 経営戦略・経営管理
- 人事考課・目標管理
- マネジメント
- コーチング・ファシリテーション
- ロジカルシンキング・課題解決
400社4万人以上の指導実績があります。『人と組織の善循環』を拡げることが使命です。
研修プログラムも自ら開発し、講師として受講者が明日から実務で役立つツールの提供を心がけています。サラリーマンとしての経験とコンサルタントとしての経験をバランスさせ、理論に走らず受講者の立場や仕事内容に応じたアドバイスを心がけています
中西 真人(ナカニシ マサト) 株式会社M&RConsulting
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