「ピグマリオン効果」
先日、たまたまテレビをつけると、高校生クイズが放送されていました。 高校生の頭脳に感心する中、私が彼らより早く答えられた問題。 「心理学者、ローゼンタールが提唱し、・・・」 皆さんもご存じでしょうか? そうです。ローゼンタールと言えば「ピグマリオン効果」です。
これは教育心理学の用語で、 先生が生徒に対して期待を込め、それを意思表示するか、 そして、生徒が先生の期待を感じるかによって、 生徒の成績に大きな影響を及ぼすというものです。
この実験結果を受け、 リビングストン博士が企業のマネジメントにも応用できるとし、 「ピグマリオン・マネジメント」と名付けました。 そのポイントは、 “優秀なマネジャーは、部下に目標が達成できるという期待を持たせることができる”“無能なマネジャーは、部下に目標が達成できないという無能感を植え付ける”と私は解釈しています。
あるマネジャーから、こんな話を聞きました。 何とか成果をだそうと頑張っていたときは、 何故か周りの部下に足を引っ張られているような気がして、 実際、成果もでませんでした。 メンバーもやる気がないというか、覇気が無くて。 ある日、自分が頑張っても限界があることに気がつきました。 30人の部下がいて、自分で30人前の仕事はできないし・・・ そんな時、研修で「ピグマリオン効果」という言葉を知りました。 それから、自分の動き方を180度変えました。 部下全員の能力が毎年10%上がること。 職場が、メンバー全員が120%の力をだせる環境にすること。 このことに、120%の力を注ぐことにしました、とのこと。
このマネジャー。今期は上期で年間予算達成。 200%の予算に上方修正すると元気一杯でした。
彼の職場、彼のマネジメントに何が起こったのでしょうか? 恐らくスタイルを変える前の彼の部下たちは、 あまりに有能な彼と比較し、 自分の無能さを毎日のように感じさせられていたのだと思います。 「本当にこれで目標いくのか?」 「ここは、こうすべきだろ!明日まで修正してこい」 一生懸命に仕事を前に進める行為が、 無意識のうちに自分の有能さを部下に見せつけ、 部下に無能さを植え付ける結果となってしまっていたのです。
部下に成長できる、目標を達成できるという期待感を持たせる。 自分の些細な言葉が、メンバーに無能感を感じさせていないか。 本当に真摯に、自分の一言一言の影響をマネジャーは反芻する必要があります。 ある研修の受講者が自分の日頃の発言が気になるとのことで、 自分の部の会議を部下に内緒で録音してみたという話を聞きました。 本人いわく、「ゾッとした」と言ってました。 先日、私が社内で後輩の企画書の確認をしている様子を 別のメンバーがスマホでこっそり撮影していました。 その様子は怖くてまだ見ていませんが・・・。
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アサヒビール株式会社、同社関連会社でのコンサルティング部門で活躍後独立。ジェイフィール設立より参画。
リフレクションラウンドテーブルのカリキュラム開発、展開や診断ツールの開発などを担当。多摩大学大学院博士課程前期修了、同大学・知識リーダーシップ総合研究客員主任研究員。雑誌掲載、寄稿、学会発表など多数。
片岡 裕司(カタオカ ユウジ) 株式会社ジェイフィール コンサルタント
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