チームを前進させるコミュニケーションデザイン
プロダクト開発の現場において、時間をかけて議論を繰り返しているのになんだか前に進んでいる実感が得られないことはないでしょうか?
実際に僕もプロジェクトを進めていて
- 同じことばかり話していて進んでる感じがしない
- 前に議論して決めた内容が覆って振り出しに戻る
といった課題を抱えていました。
本記事では、停滞してしまったコミュニケーションをいかに改善し、チームのコラボレーションを加速させられるかをお話します。
コミュニケーションの停滞を改善する3つの策
◆「役割のグラデーション」部分でコミュニケーションする
チーム内で役割分担を行なっていましたが、議論は全員でしていました。しかし議論の観点が多く、意思決定の難易度が上がり過剰な議論が発生していたので、スムーズに意思決定できるように議論するポイントとメンバーを絞りました。
絞るために役割分担をより分解してみると、分担が少しずつ重なっていてグラデーションのようになっていることに気がつきました。グラデーションになっている部分は複数の人が同じ内容について思考している部分なので、その部分にのみ議論を集約させました。
グラデーションが発生していないポイントについてももちろんコミュニケーションはとるのですが、議論は基本的に行わず、共有メインのコミュニケーションに変更しました。
これによって無駄な議論を減らすことができ、コミュニケーションの効率が上がりました。
いろんな人からFBをもらうといろんな視点をインストールできて、いいアウトプットが出せそうな気もしますが、多くは観点が分散しすぎて同じ議論を行ったり来たりしてしまい停滞の原因になってしまいます。
役割分担のグラデーションに関して補足すると、グラデーション領域を広げすぎると上で書いたように停滞の原因になる事が多いですが、逆に「あなたの役割はここまでで、私の役割はここからね」と綺麗に切り分けすぎると、誰も手をつけていない領域ができてしまうので、役割がすこしずつ重なっている状態が良いのではないかと思っています。
◆「軸」と「結論」に向き合う
次に議論の対象への向き合いかたを変えました。思いついた内容をただぶつけ合うようなコミュニケーションから「結論」(今から決めたい内容)と「軸」(結論までの論理)を意識してコミュニケーションをとるようにしました。
ロジカルシンキングにも近いですが、ある事実や観点からどのように結論が導き出されているのか?それらは繋がっているのか?を意識するということです。今回はコミュニケーションの改善が目的だったので、発表者する人だけでなくフィードバックする側の意識としても取り入れるようにしました。
発表者は
- 考えの「結論」
- 「結論」と「軸」がどのように繋がっているのか
を話すようにし、
フィードバックする側は
- 「軸」と「結論」の関係
- 「軸」そのもののどこに自分とズレがあるのか
を話すようにしました。
この「軸」と「結論」を意識することで
- 議論の対象が明確になり「なんで君はこんなこと考えてきたの?」のような議論の対象が人や関係のないものにすり替わることがなくなった
- 「このアイディアはよくなかったから次のアイディアを出すぞ!」といった積み重ねにならないコミュニケーションがなくなり毎回の議論が繋がるようになった
- 意見が食い違っているポイントが明確になりネクストアクションがわかりやすくなった
といった効果があり、思いつきで話し合っていた頃よりも着実に議論が進むようになりました。
この「結論」と「軸」のコミュニケーションは口頭だけだと理解しづらいので次に説明する可視化が非常に重要になります。
◆議論を可視化する
もともと議事録は取っていましたが、それに加えて議論の重要なポイントをモニターで映している資料に直接打ち込んでしまったり、ホワイトボードに書いて参加者全員が見れるようにしました。
また軽いミーティングでもできるだけ簡単な資料やワイヤーフレーム、手書きの概念図などを用意して同じく会話の内容を書き込んでいくようにしました。
参加者全員が議論の対象物を目に見える形にすることによって指差しで会話ができるようになるので、お互いに共通認識を持ちながら議論を進めることができます。その結果、よりクリティカルなフィードバックが出るようにったり、後から食い違いが発生することもなくなりました。
この可視化には様々なツールを利用することができます。Figma,sketch,AdobeXDのようなデザインツールはもちろん、keynote,Whimsical,mindnode,スプレッドシート、など思考を可視化できるツールをうまく使うことによって準備の時間を減らし、議論を加速させることが可能です。
まとめ
- 過剰に議論している
- 議論の対象が明確ではない
- 話した内容が残らず積み上がらない
の三つが原因で停滞していたコミュニケーションを
- 「役割のグラデーション」部分でコミュニケーションする
- 「軸」と「結論」に向きあう
- 議論を可視化する
の3つを行うことによって、前進させることができました。
みなさんも停滞した状況を打破するためのコミュニケーションデザインを試してみてはいかがでしょうか?
- モチベーション・組織活性化
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
- コミュニケーション
- ロジカルシンキング・課題解決
デザインとファシリテーションのチカラで、日々の「はたらく」を楽しく面白くする「オモシライザー」
「遊んで学ぶ」が座右の銘、楽しい場づくりこそビジネスシーンに欠かせないものだと信じる、元ナムコゲームプランナー。新規事業開発やプロジェクトマネージメントの経験とデザインの力を活かした、場づくり・チームづくりを日々思いっきり楽しんでいます!
島田賢一(シマダケンイチ) 株式会社グッドパッチ Design Division ワークショップチームMarble マネージャー
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