部下の“こころ”を動かす指導方法とは?
【Q】
精神的に弱っている社員であっても、業務上で厳しく指導しなければならないミスをした場合に、厳しく指導してよいのでしょうか?
【A】
目的を達成するためにどんな道筋がよいかだと思います。
コミュニケーションは、正しいことを伝えることではなく、こちらの意図するように動いてもらうことです。
厳しく指導して相手が本当に動くなら、その方法でもよいと思います。
しかし、ご質問の背後にある前提を察すると、指導する側が「言い放ちたい」「許しがたい」という感情を抑えられないというように聞こえます。あるいは余裕の無さを感じます。
精神的に弱っている社員に、なぜ厳しく指導する必要があるのでしょうか?
諭してはダメなのでしょうか?
例を挙げます。
あるお母さんがお釈迦様のところにやってきて、「私の子どもが死んでしまいました。どうか生き返らせて下さい」と言いました。この弱っているお母さんに正論を言うのは簡単ですが、それではお母さんは変わらないですよね。
お釈迦様は言いました。「お子さんを生き返らせましょう!その儀式をするために子どもが過去に1人も亡くなっていない村を見つける必要があります。
だからそれを探して下さい。そうしたらお子さんは生き返りますよ」
それを聞いたお母さんは、ある村を訪れ、端の家から「おたくの家で子どもが亡くなったことはありますか?」と聞いてまわります。数件まわると「ええ、実は去年、3歳の娘が、、、」と家の人が泣きながら語ります。
お母さんは、この村はダメね。。。と思い別の村で同じことを繰り返します。
しかし、結局、何件かまわると涙を流しながら、子どもの死を振り切ろうと生きているお母さんに出会います。そしてついにお母さんはお釈迦様のところに行き、「私の子どもだけを生き返らせて欲しいなんて間違っていました」と伝えます。お母さんは考え方をみずから改めたのです。
お釈迦様は、厳しい指導など何もしていません。
このお釈迦様のような対応をなぜ部下にできないか?
それは上司にも余裕が無いからではないでしょうか?
カウンセラーの仕事はこのお釈迦様のような方法でメッセージを伝えることでもあります。
- 安全衛生・メンタルヘルス
不登校・うつ病・失業などで悩む人たちが心の問題を解決して、実際に学校に通ったり仕事に復帰するためのサポートをしています。
重度のうつを発症し10年近い療養生活を送る。自らの自殺未遂の後、闘病仲間の自殺を機に、独力で社会復帰。以来、自らの経験を元に、様々な心理学・心理療法を学び、3,000名を超える心理カウンセリングを行う。生きるための心理学の伝道師として活動。
椎名 雄一(シイナ ユウイチ) 取締役所長
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