イノベーションを生み出す組織風土とは?
先日、東京大学を卒業され、MIT(マサチューセッツ工科大学)で修士課程、博士課程を修了し、
この5月よりNASAのジェット推進研究所に勤めるという
小野雅裕氏の講演に行く機会がありました。
世界のトップレベルの教育・研究機関で生きる醍醐味は?
という趣旨での講演でしたが、人材育成に携わる者として、
興味深い点が一つありました。
それは「イノベーションがどのように生まれるか」への考え方です。
例えば、MITはこれまで77名のノーベル賞受賞者を輩出。実に日本全体の4倍以上!
(日本は現時点で19名)
何が違うのか、という問いに「イタズラ心」と答えられていました。
MITでは伝統的に、いろいろなイタズラをしてみる「ハック文化」があるそうです。
単なるイタズラではなく、かなりスケールの大きなものばかり。
例えばMITのキャンパス内にある講堂の外観を映画スターウォーズに登場する
C3PO風に変えてみたり、別のビルでは、照明をコントロールしてゲームの「テトリス」風にしてみたりと。
相当に優秀な人材が集まり、スケールの大きなイタズラをする中で、イノベーションが生まれる。
このような話を聞くと、では例えばGoogleに代表されるような、遊び心溢れるキャンパスと呼ばれる社屋で
20%ルールを設け、勤務時間中の20%は通常の職務を離れ、自由に考える時間を持てば、
イノベーションは生まれるのか?
こんな風に考えてしまいがちです。
しかし、忘れてはならないのは、そのベースにある非常にシビアな競争環境。
日本では大学院に入学するもの。
しかし、米国の博士課程では学生は「担当教授に雇用される」感覚。
博士課程の授業料には莫大な費用がかかりますが、Research Assistant、Teaching Assistant、
Fellowshipなどの制度により給与がもらえ、それで費用をカバーします。
それらの給与は、教授自らがクライアントである産・官・軍から研究費用を集めることで賄われる。
そのため、教授は優秀な生徒を雇うことで結果を出す、ベンチャー企業の社長のような立場になります。
当然ながら結果が出ないと教授に見限られてしまえば解雇されることもあり得る。
そんな立場だから、社員たる生徒は必死で研究する。
そんな厳しさに加えスケールが大きな遊び心も許す風土があるから、イノベーションが生まれる。
そんな構図がありそうです。
「厳しさ」と「イタズラ心」。相矛盾することを両立させることで新しい価値が生まれる。
「グローバル化」と「イノベーション」が多くの企業で課題に挙がる中、
人材育成と組織開発を考える上でとても示唆に富んだエピソードだと思いました。
- 経営戦略・経営管理
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「グローバル&自立型人材育成」をミッションとし、プログラムの企画・開発・コーディネートを手掛け、講師としても活躍!
海外のトップビジネススクール(HBS・LBS・IMD等)、国内外のトップトレーナー(HRDコンサルタント、コミュニケーション・異文化・語学スペシャリスト等)との協働で、400社以上の企業向け人材育成に携わっている。
福田 聡子(フクダ サトコ) グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社 代表取締役社長
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