AI時代に求められる社員の思考能力とは?
人間の思考はこう進化する
ChatGPT,BingAIなどAI関連ニュースが毎日のように流れてきます。
今後もAIの進化は驚くべきスピードで進んでいくでしょう。
コラムでは、AIが急激な進化をするなかで、社員(人間)に求められる思考能力とは何かを整理し、今後の人材育成のあり方を考えていきます。
もはや人間が考える必要がなくなってしまうのではないか?
そんな思いをお持ちの方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
AI時代においても人間が考える必要があります。ただし、これまで求められてきた考える力とは異なると考えています。
私は、問題解決力や戦略立案などの研修を提供しています。
今後も、これまで通りの研修を提供し続けてよいのでしょうか。
いや、そもそも考える力を鍛える研修自体が不要になってしまうのでしょうか。
これからの思考力について整理し、今後の人材育成のあり方をまとめていきたいと思います。
まずは、AIによって人間の思考がどのように進化できるかを整理します。
「考える」行為とは
まずは思考(考える)とは、どのような行為か定義します。
思考の背景には、達成したい目的や解決したい問題があります。
目的を達成するために、アウトプットを創り出します。
思考の大きな流れは、①問いをつくる(仮説立案)⇒②データを集める(情報収集)⇒③加工する(脳内作業)です。
① 問いをつくる(仮説立案)
考えるべきことは何か(問い)を考えます。
現状を確認するための問いもあれば、原因や解決策に関する仮の案(仮説)を創ることもあります。
② データを集める(情報収集)
問いに対するアウトプットを創り出すために必要なデータを集めます。
人間にヒアリングすることもあれば、様々な統計データや調査データを集めることもあります。
③加工する(脳内作業)
集めたデータを脳内で加工してアウトプットを創ります。
集めた情報が、人間の脳に存在する知識や枠組みと結びつき、
新たなアウトプットが創造されます。これがシンプルにまとめた人間の思考の流れです。
この思考の流れがAIを活用することで、どのように進化するのかをまとめていきます。
AIによる進化①問いを作る
AIに言葉で質問すれば、すぐに回答を得ることができます。
例えば「今日の研修は?」とAIに質問すれば、その後に続く言葉を確率的に予測してくれます。
言葉で質問すれば、言葉でAIが回答してくれます。
これは、言語モデルと呼ばれます。
言語モデルとは、人間の言葉を単語の出現確率を計算してモデル化したものです。
普段使っている言葉で質問すればよいという点です。
これは大きな変化です。
PCやアプリでサクッと言葉で問いを投げかければよいのです。
さらに、言葉でなくても、数値・画像・音声などのデータを渡せばAIが読み取ってくれます。
少し前のニュースでは、難しい物理のテスト問題の画像をAIが読み解いて、正解をつくってくれたことが話題になっていました。
このように、簡単に誰でもAIに問いかけることができるようになりました。
AIによる進化②データを集める
良いアウトプットを生み出すためには,良質なインプットが必要となります。AIは,情報収集にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
ここでのキーワードは「LLM」です。LLMとは「Large LanguageModels」の略語です。
日本語でいうと、大規模言語モデルと呼ばれ、昨今のAIブームが起きた一つの要因だと言われます。
これまでは、AIを活用するために必要なデータを毎回集める必要がありましたが、今は既にデータが揃っている状態です。
ChatGPTやBingを使ってみると体感できますが、質問したことを何でも知っているような感覚を持ちます。質問したことに対応できるだけの大量のデータが揃っているからです。
さらに、知っておきたい技術がLangChainです。
LangChainを活用することで、AIが最新データベースで調べものをしてから回答を送ってもらうことが可能になります。
LLMが構築され、さらには、LangChainという技術もあれば収集できるデータは大量、かつ最新のものとなります。
さらに、様々な会社がこれまで蓄積した情報を活用して独自のデータベースを開発する流れも進んでいます。
過去の顧客対応のログが残っているならば、それをデータベースに入れることが可能です。
過去の質問にどう答えていたのか。過去の豊富な事例を活用すれば、今後、同じような質問が来た際に即座に回答ができます。
自社だけの情報を蓄積することができれば、他社に対する差別化につなげることができます。
今後のデータベース開発競争は。さらにし烈になることが予測されます。人間はAIを活用することで、大量のデータに容易にアクセスできるようになりました。
AIによる進化③加工する
集めた情報を加工しアウトプットを作成する。
人間の脳にインプットした情報が、他の知識や枠組みと結びついて新しいアウトプットが生成されます。
AIを活用することで、どのように進化できるのでしょうか。
ここでのキーワードは「ディープラーニング」です。
ディープラーニングとは、AIの機械学習の1 つです。
ポイントは人間が教えなくても情報処理のポイントを自分で見つけてくれることです。
これまでは、AIがどのように動いてほしいか人間が特徴・目的を定義しなければいけなかったものが、
AIが勝手に特徴を抽出してくれるようになりました。
さらに、AutoGPTが話題です。
AutoGPTとは、人間がAIにいちいち指示しなくても、AIが自分でタスクを考えてくれるのです。
有名な事例として、具体的な指示をしなくてもゲームを1 時間以内でつくってしまうという動画があります。
AIが様々なサービスと連携することで、利用シーンが拡がっています。
このようにAIが自動的に、精度高く、いろいろなシーンで情報の加工を行います。
今回は、AIによって人間の思考がどのように進化できるかをまとめました。
次回は「問いをつくる力が重要になる」というテーマで、これからの思考力について考えていきます。
このコラムは「月刊人事マネジメント9月号」に掲載された記事になります。
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年間100日以上登壇!課題発見力を追求!
問題・課題発見領域における実力派講師。思考力研修ならお任せあれ!
丁寧な指導をモットーに活動。三度の飯より研修カリキュラム開発が好き。「考える力」の養成を中心に様々な教育コンテンツの企画開発から提供まで幅広く携わっている。お客様のニーズにフィットした研修を実施し、皆さまの成長をご支援します。
高松 康平(タカマツ コウヘイ) 株式会社スキルベース 代表取締役
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