メンタル不調(うつ病)への対処法 シリーズ5~続編
みなさん、こんにちは。株式会社ヒューマン・タッチの森川です。
前回、【メンタル不調者(うつ病)への対処法 シリーズ5】安全配慮義務の視点から職場でなすべき対応として、「気づき」「声かけ」「聴く」「つなぐ」の「気づき」「声かけ」までお話しさせていただきました。今回は、「聴く」「つなぐ」について話題とさせていただきます。
- 「聴く」
予見可能性の高まり(いつもとのちがい)から「気づき」があり、積極的に「声かけ」をしていただきました。ただ、声掛けの場面の流れで、立ち話でしっかり話を聴くことは難しいですよね。会社ではいろんな人の目があります。上司との相談といってもどのように見られるか気にする方もあるのではないでしょうか。また、入社間もない社員や、年齢の離れた部下であれば、緊張も強く中途半端な状況ではお話しはし辛いと思います。不調が疑われる従業員や緊張が高くなるような場面では「傾聴」が役に立ちます。
- 「傾聴」
以前もコラムで書かせていただいたので、概要の説明にさせていただきますが、傾聴で大切なポイントを以下に示します。目の前にしっかりと話を「聴く」ことが出来る人がいる場合、私たちは「もっと聴いてほしい」「もっと理解してほしい」と思うことが多くあります。相手の話を否定せずに、立場を同じくして聴くことは、不調者面談で最も大切なことだと考えています。
■傾聴とは
× 聞く = 単に耳で話を聞くこと。「音声」として伝わっているだけ
○ 聴く = 部下の話に意識を向けて、こころを介して聴く
■傾聴の要素
「受容」 相手の考えや気持ちを、否定せず、そのままに受け入れること。
「共感」 相手の話を、あたかも自分のことのように受け止め感じること。「同情」とは異なる。相手の気持ちに入り込みすぎないこと。
「自己一致」 相手の話の分からないところは確認をして、相手の意図と自分自身の理解を一致させ、言葉の奥にある真意を把握する。
■傾聴のポイント‐意識を傾け、話に心を寄せて聴く
■守秘義務の厳守
‐「相談内容は、あなたの了承なしには第三者に話すことはないので安心して下さい」
‐必要な場合には、相談者本人の承諾を得て内容を取り扱う
■相談場所の配慮‐声の漏れない場所、区切られた時間
■相談者と相談を受ける側の配置‐対面法、90度法
■非言語コミュニケーションを大切に‐表情、発話の早さ、音の長短・強弱
- 傾聴の効果
■相手が得られる効果・・・
・「自己効力感(自分に対する信頼や有能感)」
・「カタルシス効果(ストレス解消、うっぷん晴らし)」
・「内省(自分の考えや気持ちを整理する)」
・「問題解決のヒントは本人の中にある」
■あなたが得られる効果・・・
・「私はあなたに関心を抱いています。その関心は、あなたを評価したり避難したりするものではありません。あなたがいまそのように思う気持ち自体は、評価云々ではなく私は理解します。あなたに強要するようなアドバイスや指示を与えるつもりもありません。ただあなたを理解したいのです。だからこそ、あなたにも私が自分のことを話すに値する人間だと理解してほしいのです。」
・「自分を助けてくれる人たちを作ることができる」
・「職場で働きやすくなる」
- 「つなぐ」
しっかりと話を「聴く」ことが出来れば、多くの情報が入ってきます。一時的な気持ちの落ち込みなのか、病気や症状のレベルまで進んでいるのか、ある程度ここで判断をしたいところです。ただ、この判断が難しい、とのお声を多くいただきます。もちろん、管理職は医療職とは異なりますので、原則、人事や産業医・産業保健スタッフ、またはカウンセラーなどの専門家に「つなぐ」ことで大丈夫です。ただ、何でもかんでも「つなぐ」ことばかりでよいとなると、現場力、マネジメント力も低下してきてしまうのが常です。
- 「つなぎのヒント」

面談を実施して、朝方4時や5時に目が覚める、一日中気分が沈む、やる気がでない、罪悪感や自責感が強くなる、興味関心が薄れる、死んでしまいたいなどの複数の反応が、2週間以上継続しているようなケースは、なによりも専門家につなげることを優先してください。そこまでの状況までではない、ということであれば、業務量の調整や、自身の経験からのアドバイスといった「マネジメント力」を発揮して「環境調整」での対応を優先してください。
- 「つなぐ」ポイント
■保健師、産業医につなげる際には・・・
・睡眠の問題 → 寝つきが悪い、途中で目が覚める
・食事の問題 → 元気な時と比べて
・体調の問題 → 頭痛、腹痛、その他の不調の有無
・アルコールの問題 → 飲酒量、増加しているかどうか
「眠りはどうですか」「ご飯は食べられていますか」「土日の過ごし方はどうですか(意欲)」といった質問は、現状を知るうえで有用な場合が多いと感じています。上記判断のための情報収集の手段として活用してみてください。
「気づき」「声かけ」「聴く」「つなぐ」、管理者の安全配慮義務の履行において、もっとも大切な事柄の一つです。加えて、いきいき職場づくりの要素でもある「心理的安全性」の向上にも寄与してくれると感じています。積極的なコミュニケーションは、不調発見だけでなく、不調予防にもつながるものであると認識して、職場で実践してみてください。
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森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師

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