部門の構成員全員による職場環境改善案の策定
【ヒューマン・タッチ レター vol.96】
みなさん、こんにちは。株式会社ヒューマン・タッチの森川です。
今回は、前回お話した中小企業での職場環境改善の3つの方法の1つ
「部門の構成員全員による職場環境改善案の策定」の具体的進め方についてです。
■職場側の支援
現場の職員を交えての改善活動は、最も効果が見込める半面、
実施のハードルは高くなります。
事前に職場内では、以下の視点で実施までの調整を行いたいところです。
1.トップマネジメントの理解と協力
体制作り(実行単位)と役割の明確化、予算の確保、参加者と参加時間
2.改善活動の視点:ストレス対策がストレスにならないために
プラス・ワン、良い点を強化、スモール・ステップ、良い事例の水平展開
3.問題追及ではなく、対策(解決)志向で
4.トップダウン「指示」より、ボトムアップ「対話」で
■対象部門の選考方法
まずは、ストレスチェックの総合健康リスク値、もしくは高ストレス者の割合などから
対象となる部門候補を挙げます。最も数字が悪い部門を選ぶのではなく、
一定程度数字が悪く、その上で部門長がやる気のある部門の優先度を上げるのも一つの方法です。
最も数字が悪い部門は、個別の特徴的な要因が強いケースもあり、
介入が難しいケースもあります。
また、部門長の積極性が大きく影響する場合も多いと考えます。
一度に多くの部門から始めるのではなく、1つか2つ程度から初めて、結果を確認して
横に広げていく方がやりやすいでしょう。
■年間でのスケジュール
「ストレスチェックの実施」→「経営層、人事労務担当者への結果報告と分析」
→「部門長への教育研修」→「マネジメントインタビュー」→「対象部門の決定」
→「当該部門でのグループ学習(改善計画の立案)」→「当該部門での中間報告会」
→「当該部門での振り返り」→「ストレスチェックの実施」
が丁寧なスケジュールになります。
■グループ学習(改善計画の立案)の進め方
可能であれば、構成員全員を集め(部門長には参加してもらわないケースが多いです)
以下の進め方で、改善案を作成します。
①グループ学習の説明 約20分
挨拶、「グループ学習の目的」「ストレスチェック結果の見方」
「アクションチェックリストの使い方」などの説明
②職場概要の意見交換 約15分(1人2分)司会・書記・発表者決め
部署ごとのグループに分かれ、調査結果をもとに、自分たちの職場の魅力はどこにあるか、
逆に、何が自分たちの仕事を忙しくしているのか、
自分たちの思うように仕事が出来ないのはどういう理由からか、
といった視点から意見交換。(可能ならそれぞれ3つ)
③改善策の立案 約30分
快適で働きやすい職場作りに役立っている点と、快適で働きやすい職場作りのために
これから改善したい点を具体的に3つに整理する。アクションチェックリストを参考に。
④グループ学習のまとめ 約10分
3つの改善案のうちから優先順位を決め、今後取り上げるべき改善項目を1つ選ぶ。
3月の報告会までの計画を立案。
⑤発表、全体討議 約5分×4グループ=約20分
グループ毎に発表。2つの改善計画を部門ごとに共有。
⑥まとめ 約10分
今後の取り組みや報告会について、まとめ
■グループ学習の注意点
グループ学習を進める際には、以下の点を注意して行っていただきたく思います。
【グループ学習について】
・職場の構成員全員が参加するのが望ましい
・仕事のスケジュール、やり方、職場レイアウト、ミーティング
のやり方など、様々な側面について、自由にアイデアを出し合う
・良いものを作り上げ、実際に職場で実施できるきっかけにできるようにする
【グループ討議をうまく進めるヒントとして】
①すぐできる対策から考える
②低コストで進められるものから考える
③改善を実施する優先度の高いものを検討する
④改善に時間を要するものは,ステップバイステップのうちの「ステップ1」にあたるものをまず考える
⑤メンタルヘルス対策にこだわらず,快適で働き易い職場つくりのために必要な点について,幅広い視点から
【また,グループ討議の際は・・・】
1.立場で発言しない
「わたしは・・・だから、こんなことを言うわけにはいかない」
「わたしは・・・だから、こう言わなければならない」
2.実現可能性を重視する
こんなちっぽけなことを言ったって 役にたたないだろうなあ..
小変から大変へ
3.発言は前向きに,しかし演説は避ける
ポイントを箇条書きにする
■まとめ
上記示したのは、理想的な方法の一つです。忙しい職場の中で、上記を実施するには
大きな労力と時間が必要になります。
各職場の実情に合わせて、工夫していただければと思います。
また、継続は力なり、です。
継続していくことで、好事例もストックされてきます。
全社的に好事例をデータベース化しておけば、他の部署も取組に対してハードルが下がり、
実施部門が増えるという好循環も期待されます。
まずは、出来る範囲で専門職が中心となりスタートさせ、
最終的には、各職場でファシリテータが毎年改善計画を回していくこと、
これが理想かもしれません。
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メンタルヘルス対策の仕組みづくり、個別休職復職支援、ラインケアセミナー、セルフケアセミナー、全員面談、ストレスチェック、職場環境改善、災害・自死等の危機対応など、「こころ」の視点から、「いきいき職場づくり」をトータルに支援いたします
森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
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