マイノリティの立場でリーダーの役割を担う社員のためにできる事
現在、当社の組織改革プロジェクトにて関わらせていただいている
複数のクライアント企業様の女性管理職クラスの方々から、
立て続けに相談依頼が舞い込んでいる今日この頃。
彼女たちの悩みに耳を傾け、アドバイスをしながら
改めて感じたことは、特に職場でマイノリティの立場にある方が
リーダー的立場でその力を発揮するためには、
メンタルフォローが欠かせない、ということです。
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■誰にも相談できない女性管理職の悩み
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当社がサポートさせていただいている企業様は
男性管理職比率8割超といった技術系企業であるため、
相談いただく女性の皆様はもちろん職場におけるマイノリティです。
その中で更に女性管理職となると、
女性リーダーのパイオニア的存在といった役割も大きく、
ロールモデル不在の中、答えがないことを進めることも多くなり、
追いつめられてしまうような気持に駆られることも少なくありません。
そんな女性の皆様が私に相談をする際に
必ずおっしゃる言葉がこちらです。
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「誰にも相談できないので、細木さんに連絡しました」
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【誰にも相談できない】状況とは、例えば
社内の利害関係者(上司・部下・同僚など)には
立場上相談することがためらわれる内容だったり、
特に多いのが、
「自分の上司に相談したいが、その前にどう伝えれば
理解してもらえるか分からない。自分の業務や現状を
分かってくれる人に、上司への伝え方も含めた相談がしたいが、
そういう人は自分の周りにはいない。」
という状況に立たされて悩んでいる女性管理職の皆様です。
そんな時、社外の立場でありながら、
組織改革プロジェクトのサポートで定期的に関わっていることから
職場の状況や業務内容を把握している私の存在が、
【誰にも相談できない】と悩んだ先の相談相手として
活用いただけているのだなと実感しています。
新年度に入って以降、相談件数がぐっと増えてきた様子からも、
安心して相談できることは、当事者が失いかけた
自信を取り戻し、自分らしくその力を発揮していくための
フォローの1つとなっている、と改めて思った次第です。
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■状況を十分に踏まえた多様な視点からのアドバイス
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先日ご相談いただいた女性管理職の方も
「他に聞ける人がいなくて、申し訳ないと思いつつ
細木さんに相談させていただきました・・」
とおっしゃりながら、今の課題感や不安な気持ちを
時折涙を流しながら話をしてくださり、私もその話から
彼女の視点や捉え方が変わるきっかけになるような
事例やアドバイスをお伝えしてその場を終えました。
翌日、彼女から長いメールをいただき、その中には
こんなことが書かれていました。
「細木さんに相談して良かったです。
私の頭が凝り固まっていたせいでずっと腑に落ちない
気持ちを抱えていましたが、そんな時細木さんの言葉の
端々にハッと気づかされることが多々ありました。
~~中略~~~
いただいたアドバイスからヒントを得て、なかなか
進まなかった提案資料も完成に近づいています。
本当にありがとうございました!」
私はこの頂いたメールを拝読し、
社外の立場等からの多様な視点でのアドバイスには、
本人がなかなか気づかない小さく固まっていた視野を広げたり、
現状を俯瞰するきっかけにつながる可能性が高く、
その結果、気持ちも落ち着いて本来のパフォーマンスを
発揮できるようになる、といった効果もあるのではないかと
思いました。
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■マイノリティの立場でリーダーの役割を担うために
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人のパフォーマンスは「能力×モチベーション」で
表せると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
悩みを抱えて私のところへ相談のため連絡をくださる方は、
総じてモチベーションが下がった状態ではありますが、
相談を通して不安な気持ちを吐き出すことだけでも
下がっていたモチベーションを引き上げることにつながって、
また普段通りパフォーマンス発揮できるようになった
ということも良くあることです。
特に、私が関わらせていただいている
男性管理職比率8割超といった技術系企業における
女性管理職の皆様は、高い能力を持ち、会社が求める成果を
十分に出せるからこそ、今の立場・役割を担っていると
言える方々だと思います。
一方で、男性管理職が多い職場環境下では、
やはり女性管理職の存在はまだまだマイノリティです。
そういったマイノリティの立場にある以上、
これまでのルールや考え方を踏襲するだけでは
どうしても上手く物事が進まないかったり、
なぜ同じことを言っているのに私の意見は受け入れられないのだろう、
といった壁にぶつかってしまうことも避けられないのだと思います。
だからこそ、私がいつもお伝えしていることの1つに
「自分ならではのやり方を確立する」があります。
自分の強みや特性を最大限活かした形での能力発揮の先には、
無理なく続けていける「自分スタイルの確立」へと
直結している、と私自身の経験則からも確信しています。
とはいえ、マイノリティの立場にある方が「自分スタイルの確立」を
模索する中で、ロールモデルがいないことからくる悩みや不安も
きっと少なくないはずです。
それらの悩みや不安からモチベーションダウンしてしまったとしても、
自分でモチベーションを引き上げる手段を、自分なりにいくつか
持っておくことは、結果として自分を守り、成長させることにも
繋がっていくと私は考えています。
もし、自分が社内のマイノリティな立場で、
リーダー的役割を担っているような際には、
社内外問わず、自分が安心して相談できる相手を
持っておくことをぜひお勧めしたいと思っています。
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■「能力開発×モチベーション維持・アップ」を同時並行で!
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組織で人事やダイバーシティ推進に携わる方であれば、
女性活躍推進やD&Iの取り組みの一環として
女性社員の能力開発を通して、女性管理職比率アップに
つなげるための施策検討をされている方もいらっしゃるかもしれません。
その際には、今回のコラムでご紹介したように、
能力開発の施策に加えて、「モチベーション維持・アップ」につながる
施策も同時並行で実施することをご検討いただければと思います。
この考え方が、人のパフォーマンス発揮を最大化するために
必要な「能力」と「モチベーション」をより効果的に引き上げ、
最終的に、形骸化しない女性活躍推進・D&Iを実現するための、
大きな支えの1つになると私は考えています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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