正しい情報を部下から引き出すために

■耳の痛い話を受け入れる器があるか?
私は管理職になりたての頃、男性マネージャーの真似をする形で、
部下を叱咤激励しているつもりが、上から物を言うような態度で
「しっかりしなさい!」
「ほら早く対応して!」
など、今となってはダメな上司の典型のようなマネジメントを行っていました。
もちろん部下は付いてきてくれず、約50人の部下の一人から
「あなたがいるとロクなことがない、と全員が言っていますよ」
と言われ、大ショックを受けたものです。
リーダーとして仕事をしていくためには、時に耳が痛くなるような話を正面から受け入れ、
改善する必要に迫られる場面も多々あるものです。
しかし、受け入れがたい話を受け止める覚悟がないと、ますます部下の信頼を失い、
「あの上司は何を言ってもダメだ」と誰もついこない・・といった状況を引き起こしてしまいかねません。
■関わり方を変えたら、部下がついてきてくれた!
大ショックを受けた当時の私は、部下の前でこれまでのことを謝罪し、
どうすれば仕事がうまくいくか、一緒に考えながら力を合わせて取り組みたい、
と思いを伝えました。
もちろん、部下に対する関わり方も試行錯誤しながら変えていき、自分が無理なく、
部下の力を発揮できるような関わり方を少しずつ構築した結果、
「私は細木さんのために働きます」
と言ってくれる部下がひとり、またひとりと増え、仕事のピンチをチーム全員で
乗り越えることができたのです。
(ピンチの詳細はここではとても書けません・・)
■正確な情報が、管理職のミスリードを防ぐ
仕事がうまく軌道に乗ったのは、日々の仕事の中で部下から上がってくる
正確な情報があったからこそでした。
私が男性の真似をしたマネジメントを行っていた時には、部下の中には萎縮して
何も言えなくなってしまったり、「このぐらい自分でなんとかなるだろう」と
自己判断でミスを報告しないという選択をした部下もいました。
上司である私が、そうさせてしまっていたということを、その後自分のマネジメントスタイルを
変えてから痛感したものです。
マネージャーとしてミスリードを防ぐためには、正確な情報をどれだけ収集できるかが
肝だと私は考えています。
■まず、上司である自分が正確な情報を出すこと
正確な情報を収集するためには、何よりも上司である自分が正確な情報を部下へ
提供することが必要です。
「発信した分だけ、情報は返ってくる」
という体感を私は持っています。
もちろん、上司として部下に全ての情報を渡すことが難しいということもあるかと思いますが、
自分の可能な範囲で細かな情報を提供すること、それにプラスして、私は自分の考えていること、
今後の方向性なども共有するように心掛けていました。
■上司と部下の間に信頼関係を築く
部下が上司に本音を語ること自体、なかなか難しいことかもしれません。
しかし、やってできないことはないと思っています。
NTT時代からその後現在まで15年ほどの管理職、
そして上司という立場を経験してきた中で
部下の方々から細やかな情報が山のように
寄せられたことで、どれだけのミスリードを防いだことか・・・
思い返すだけで感謝の思いが溢れてきます。
元部下のインタビューで
「まずこちらの思いを受け止めてくれる細木さんのスタンスを見習って意識して実践している」
と語ってくれた武田さんも、細やかに私をフォローし、ミスがあった時も即座に報告をくれ、
部長である私の出番が全くないまま仕事を仕上げてくれたものです。
もちろん、信頼関係を築くのは時間が必要だと思いますが、私は15分もあれば
強固な信頼関係を成立させることも可能であると、これまでの経験と実績から確信しています。
上司は、自身が思っている以上に大きな影響を部下に与えているものです。
その上司が、部下との関わり方をほんの少し変えるだけで、関係性は激変し、
部下のモチベーションや生産性を一気に向上させることも可能なのです。
部下を信頼し、正しい情報を得られる管理職につながるヒントになれば幸いです。
このコラムを書いたプロフェッショナル
細木聡子(ホソキアキコ)
株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。

細木聡子(ホソキアキコ)
株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
得意分野 | 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、キャリア開発、リーダーシップ、マネジメント |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 千代田区 |
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