逆説14, メンター&メンティー関係を気楽な関係にしない
逆説13で提示した筋交いコミュニケーションを実践するために、メンター 制度を入れるのも一つの手である。しかし、多くの企業のメンター制度は形骸化する運命にある。
形骸化の大きな原因の一つは、メンター&メンティー関係に緊張感が無いことがあげられる。そこで、ある会社ではメンターにメンティーの育成責任を強く求めるとともに、メンティーに対する評価権限を与えた。つまり、人事評価 の仕組みの中にメンター&メンティー関係を組み入れたのだ。本項目では、その事例を紹介しよう。
本事例では、直属上司とは別に先輩社員としてのメンターを一人につき一人設置した。そして、直属上司やプロジェクトで関わる上司からのフィードバッ ク結果を、このメンティーが全て収集して、評価会議で説明するという役割を 持つようにした。
この制度の運用成功の大きなポイントは、ラウンドテーブルと呼ばれる人材育成と人事評価を目的とした会議である。このラウンドテーブルでは、先輩社員が自らの担当するメンティーの評価結果を、客観的な視点で参加している別の評価者全員、つまり、マネージャー以上全員に説明をする。そして、評価の妥当性について徹底的にマネージャーどうしで議論する。また、先輩社員は本人の成長上での悩みや将来キャリアなどについても説明し、マネージャー以上全員で一人ひとりの育成指導方針までを議論する。ラウンドテーブルは評価査定だけでなく、一人ひとりの人材育成を考える場でもあるのだ。
こうして責任と権限を与えられたメンターは、しっかりと機能する。そして、 機能し始めると組織内にナナメの明確な関係ができ、筋交いの通った組織ができあがるのである。
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「人事の大学」を運営する株式会社JIN-Gの社長です/
ビジネス・ブレークスルー大学で准教授も務めます/
組織人事戦略コンサルタント
・株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
・ビジネス・ブレークスルー大学経営学部グローバル経営学科准教授
三城 雄児(ミシロ ユウジ) 株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
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