逆説8, これからはダイバーシティだと騒がない
ダイバーシティ・マネジメントは、多様性が企業の売上や発展に貢献し、競争力の源泉になるという考え方である。昨今、ダイバーシティ・マネジメントに関する相談を受けることが多くなった。そして、大企業を中心に多くの企業 がダイバーシティ・マネジメントを実践しようと、部署をつくったり、部門横 断プロジェクトを立ち上げたりしている。しかし、ダイバーシティ・マネジメントにおいて、著高な成果を上げている企業は尐ない。
ダイバーシティ・マネジメントにおいて重要な視点は、ダイバーシティ推進はプログラムではなくプロセスであるということだ。つまり、ダイバーシティ推進は、一時的なプロジェクトとして行われるものでは効果が薄く、いつも継続的に行われていて効果があるものである。
例えば、女性の管理職比率を高めようと女性管理職 100 人などと数値目標を 掲げ、数値上での目標を達成しただけは、多様性を活かせる競争力を持った組織になったとは言い難い。真に競争力のある会社というのは、形(数値)だけ 女性管理職を増やすのではなく、女性であっても、外国人であっても、人種が違っても、宗教が違っても、そのことを理由に不利なことがなく昇進したり活躍したりできる企業になることである。これはつまり、一人ひとりの可能性を最大限に大切にするマネジメントを「継続」するこである。
このことは一般的には当たり前に考えられることなのだが、こと人事部門が行うダイバーシティプログラムは、形だけの一時的プログラムの羅列に終わることが多い。ダイバーシティと横文字を使った瞬間にこれまでと違うことをやらなければならない。何かプログラムを設計しなければならないという思考に陥ってしまいがちである。「これからはダイバーシティ」と新しいプログラムの必要性を説くのではなく、むしろ一人ひとりを大切にするマネジメントの継続という本質的に重要な行動を、もう一度改めて経営者や社員に、地道にコツコツ主張することから始めたらどうだろうか。
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「人事の大学」を運営する株式会社JIN-Gの社長です/
ビジネス・ブレークスルー大学で准教授も務めます/
組織人事戦略コンサルタント
・株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
・ビジネス・ブレークスルー大学経営学部グローバル経営学科准教授
三城 雄児(ミシロ ユウジ) 株式会社JIN-G 代表取締役 組織人事戦略スペシャリスト
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