【導入事例】女性が安心して働き続けるために、企業ができること
創業以来、驚異的なスピードで日本を代表するIT企業へ成長した株式会社サイバーエージェント。「21世紀を代表する会社を創る」を掲げ、新しい未来のテレビ「ABEMA」の運営や国内トップシェアを誇るインターネット広告事業を展開しています。代表的な「メガベンチャー」として知られる同社は、2014年にいち早く女性活躍促進制度 「macalonパッケージ」を導入。ベンチャーマインドを保ちながら成長する会社を支える福利厚生制度の裏にはどういった思いがあるのでしょうか。 今回は、「macalonパッケージ」立ち上げから、卵子凍結制度導入の中心となった人事本部の田村有樹子さんに、制度設計をする上での考え方や今後の展望について伺いました。
■制度導入の背景は?
サイバーエージェントでは卵子凍結費用補助の福利厚生導入に至るまで、女性の活躍推進として様々な施策や制度導入を行ってきています。背景にはどのような会社にしていきたいという思いがあるのでしょうか?
田村:当社では「macalonパッケージ」という独自制度を2014年に導入しました。導入時は女性特有の体調不良時に月1回取得できるエフ休(F:Femaleの特別休暇)、妊活休暇、妊活コンシェル、キッズ在宅、キッズデイ休暇の5つをパッケージにしたものでした。その後、待機児童が大きな社会問題になった2016年に、認可外保育園費用の補助、パパママ社員の働き方を紹介した社内報など、復帰を支援する制度を追加しています。 卵子凍結については、CAramel(カラメル)という女性有志の横断組織から提案があり、慎重に議論を続けて今回の導入に至りました。当社の人事制度は『挑戦と安心はセット』という考え方を軸にしています。キャリアとライフのバランスに悩む社員の選択肢を増やし、安心して挑戦してもらいたいという思いで、制度を考えたり、時代のニーズに合わせたアップデートを随時行っています。
■制度設計のポイントは?
サイバーエージェントの場合は、一人上限40万円の補助という制度になっています。設計していく上で、よく議論されたポイントはどこでしょうか?
田村:海外の事例が先行していたので、金額の設定は慎重に検討を重ねました。 卵子凍結を行う際、費用的にネックになるのはどこだろうか?と考えた時に、やはりまとまった金額が必要となる初期費用ではないかと。医学的にもなるべく早いうちに卵子凍結するということが理想ではあるものの、若手社員にとっては躊躇してしまう金額だったりします。そこで、必ずしも全額ではなくとも、彼らの背中を押せるような設計にしたいと考え、卵子凍結の初期費用をおおむね賄うことのできる金額での補助を決めました。
事業もですが、この福利厚生制度導入も検討開始からかなりスピード感があった印象です。ポイントはなんでしょうか?
田村:挑戦をするための投資は必要というところがカルチャーとしてあったため、経営層もこの案については元々ポジティブでした。また検討段階から女性役員を巻き込んで進められたこともポイントとしてあると思います。
■社内での反響は?
導入後、社内での反響はいかがでしょうか?
田村:総じてポジティブです。年次が高い女性社員から、後輩たちへこういった環境を用意できることがありがたいという意見や、エンジニアから他社のエンジニア界隈でも好評だ、という言葉をもらいました。昔は「ベンチャー=挑戦」のイメージが強く、新卒採用のイベントなどで「産休・育休はとれますか?」という質問が多い時代もあったのですが、macalon導入後はそのような質問もなくなりました。制度を作り、社内へメッセージを伝えることと同時に、社外にも安心の面を伝えられるようになったと感じます。
ありがとうございました。最後に今後の展望についてお聞かせください。
田村:女性が働きやすい環境を整える上で、選択肢の中から自分で人生を選択できるようにしていきたいと考えています。卵子凍結についても本人が必要だと感じた場合に選択していく制度の中の一つです。その助けになるようなものは率先して行っていきたいですね。定期的なセミナー開催であったり、管理職向けへの周知など含めて、自分の人生を充実させる上で正しい選択をするためのサポートを行っていきたいと考えています。 仕事を頑張りたい、家庭を作りたい、どちらかを選択しなくてはいけないではなく、どちらも欲張っていいんだよ、というメッセージを伝えていきたいと思っています。 「年次があがってきたから管理職を目指さないといけない」「女性の活躍を期待されているから頑張らないといけない」というようなことではなく、自分らしい働き方を応援する、自然体でチャレンジできる環境を作っていきたいと考えています。
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