連載企画vol.5 動画社内報を成功に導く5つのポイント
2021年7月に運営プロジェクトがスタートしたエビリーの動画社内報「エビちゃん」。
前回の「動画社内報」の再生回数を伸ばすためにした7つのコトでは、社内エンゲージメント向上に貢献した動画社内報の「再生回数を伸ばしたポイント」についてご紹介しました。
運営開始からおよそ半年が経過し、そこで見えてきた「失敗」と「気を付けておきたいポイント」について、運営リーダーの山本が解説します。
目次
1:視聴者のニーズが「正解」ではない
2:エンゲージメントスコアを高めるコンテンツを提供する
3:フェーズに沿って施策を展開していく
4 : 動画投稿ハードルを下げる「フリー素材」提供とナレッジ共有
5 : マネージャー層から動画視聴を推進し、心理的安全性を担保
1:視聴者のニーズが「正解」ではない
―動画社内報のスタートから半年が経過し、ここまでの取り組みの中で見えてきたことにはどのようなことがあるのでしょうか?
山本:はい。エビリーでは2021年7月から動画社内報「エビちゃん」を本格的にスタートさせました。視聴者にアンケートを実施し、「どうやったらより魅力的なコンテンツになるのか、視聴したいと思うのか」といった意識調査を行いました。そこで大きく分けて3つの意見が出てきました。
1点目は「ポータルサイトのUI」を改善してほしいといった要望でした。従来の動画社内報サイトは動画が整理されておらず、何がどこにあるのか一目ではわかりにくいデザインになっていたので、まずはサイトデザインの改善を実施しました。
2点目は「忙しくて視聴する時間がない」という意見でした。これについては、倍速視聴機能を促進し、重ねて運営側から発信する動画については5分以内で推奨するなど、多忙な中でも一息つく時間で視聴できるような内容に統一させました。
そして、最後は「どの動画から観たらいいのかわからない」といった内容でした。乱立していた動画を部署ごとに整理し、新しく入社された方がどこから見ればノウハウを取得できるのかがわかるように改善していきました。
しかし、これで視聴数が増えたのかというと、実はあまり変わらなかったんです。
―それはなぜですか?
山本:その時我々がたどり着いたのが、「要望=答えではない」ということです。要望というのは表面に見えているものであり、その根底には潜在課題が眠っています。この潜在課題の中には、大きく分けて「動画社内報への関心が低い」「視聴母数が少ない」といった2つの課題が存在していました。
さらに視聴者の行動履歴を分析し、社員の自己紹介動画や学びコンテンツといった視聴者の興味関心の高いコンテンツを導き出すことができました。
山本:その動画コンテンツの離脱傾向などを読み解く「視聴者維持率」や、アカウント別に適切なターゲットに視聴してもらえているかを可視化する「視聴解析機能」、時間帯別に視聴率がわかる「Google Analytics」を活用し、『視聴層が二極化』、『TOP30の半数が自己紹介動画であること』、『学び目的のコンテンツが人気』という3つの仮説を導き出すことができました。これらのことから、視聴者のニーズが答えなのではなく、視聴者の行動こそが実態であるということが見えてきました。
―表面上のニーズではなく、視聴者の行動分析によって見えてきた課題解決が肝という事ですね。
2:エンゲージメントスコアを高めるコンテンツを提供する
―視聴数の伸び悩みに対して、どのような施策を展開したのでしょうか?
山本:どの企業様にも共通した課題だと思いますが、「どのように自発的に視聴してもらうのか」は非常に重要な課題です。自発性とはエンゲージメントが高い状態にあると言えます。これらをすべて動画で解決するのではなく、自己紹介や部署間交流といった人間関係やTOPメッセージなどでの共感、TOPセールスマンのノウハウ公開といった動画コンテンツで補助してあげることができます。
これらの動画を通じて、今まで話したことがない社員間での新たなコミュニケーションを生んだり、仕事に対して活力を持つといったエンゲージメントを高める効果が期待できます。やみくもに動画を企画して制作するのではなく、エンゲージメントスコアの項目に影響を与えるコンテンツを提供することが重要です。
―現場が忙しくてコンテンツ企画に対応できなかったり、自社にそのノウハウがない場合はどのような方法が有効でしょうか?
山本:やみくもに数を増やすのではなく、しっかりとエンゲージメントスコアの改善につながる意味のあるコンテンツを制作することがポイントです。まずはエンゲージメントスコアをもとに、データに基づいた戦略のもと、企画や動画制作を外注することも有効です。
―目的に沿ったコンテンツを提供するためには、プロの力を借りることも重要ですね。
3:フェーズに沿って施策を展開していく
―最後に気を付けておきたいポイントとはどのようなことでしょうか?
山本:はい。動画社内報プロジェクトを走らせるにあたっては、フェーズ分けをして順序立てながら、戦略を立てていくことが大切です。下記は「エビちゃん」の月間再生回数を表したデータです。
7月のプロジェクトスタートから2ヶ月間は、社内ポスターや全体会議を用いて社員への「認知期」とし、翌月からは視聴者の興味関心度の高い動画をイベント化して、再生回数に応じて景品を用意するなど、「共感・行動期」で動画視聴を活性化させる施策を展開しました。
結果としてコメントや質問といったコミュニケーションが活性化し、エンゲージメントスコア項目の『部署間を超えた協力スコア』が大きく上昇しました。
―イベントによって参加数や動画視聴数が顕著に伸びていますね。
山本:一度盛り上がることによって動画文化が浸透・定着し、その後の「定着期」以降は様々な施策が効果的になりました。再生回数がプロジェクト開始月と比較して700%UPし、エンゲージメントスコアも130%UPという大きな結果が出ました。
認知期のフェーズでコンテンツを大量に投下しても、浸透していない段階では視聴は伸び悩んでしまいます。うまくいかない時にはすぐに軌道修正を行いながら、フェーズに沿って施策展開を行うことがポイントです。
―施策の中にもアジャイルを採用し、柔軟に対応していくことが重要なのですね。
4:動画投稿ハードルを下げる「フリー素材」提供とナレッジ共有
―視聴回数は伸びたものの、動画投稿はなかなかハードルが高いと思う社員もいるのではないでしょうか?
山本:そうですね。そのため動画投稿ハードルを下げるべく、無料サムネテンプレサイトの利用推進を行いました。
また、タイトルに関してはプロスペクト理論を応用するとよいといった具体的なナレッジ共有や、明るいとか寂しいとか感情でサーチできるフリーのBGM素材サイト情報を提供し、適切なのをただいれるだけといった投稿の負担軽減に取り組みました。
―素材があることで安心して手間をかけずに動画作成ができますね。
5:マネージャー層から動画視聴を推進し、心理的安全性を担保
―他にはどのような取り組みを行いましたか?
山本:エビリーでは正社員、契約社員、業務委託にアルバイトなど様々な雇用形態の方が働いています。「業務中に動画を閲覧しても良いのだろうか?」という声に対し、心理的安全性を担保するために各マネージャー層から積極的に動画社内報を視聴していただくよう伝えるなど、誰もが安心して視聴しやすい環境づくりを意識しました。
―業務中でも気兼ねなく視聴できる環境であれば、投稿もより一層活性化しますね。動画社内報の閲覧がなかなか伸び悩んでいるという企業にとって、今日からでも実践できるポイントが満載でした。ありがとうございました!
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