「選ばれる企業」になるための人的資本の開示と人材マネジメント
こんにちは。SmartHR プロダクトマーケティングマネージャーの佐々木と申します。
近年注目され始めている人的資本の開示。本記事では、注目されている背景や意義、企業に求められるアクションと実現に向けたHRテクノロジー活用についてご紹介します。
「人的資本の開示」とは?
これまで人事・労務分野における明確な指標は定められておらず、各社独自の方法で指標の管理がなされていました。
持続可能な社会や企業経営が求められるようになり、2018年12月に、ISO:国際標準化機構より人的資本の開示に関する国際標準ガイドライン「ISO 30414」が公開されました。
人的資本の開示とは、企業における資本である「ヒト」に関する情報開示に関する11項目と58指標から構成されるガイドラインであり、公開指標の一つとして重要視されています。
■「ヒト」に関する情報開示11項目
- リーダーシップ
- 後継者育成
- 企業文化
- 健康経営
- コンプライアンス
- コスト
- 生産性
- 労働力の確保
- 採用・異動・離職
- スキルと能力
- ダイバーシティ
(出典:Human resource management — Guidelines for internal and external human capital reporting)
11の項目を人材マネジメントに照らし合わせ、解釈しやすいようにまとめてみました。
・企業経営に重要となる人材確保・多様性を担保できているか?
労働力の確保、様々な雇用形態の従業員数、ダイバーシティに関連する従業員の年齢や性別の分布、総人件費や平均給与などのコスト、採用効率や異動社員数・離職離職率などの人材流動性に関する報告。
・人材育成や生産性の向上に向けた適切な投資ができているか?
リーダー、後継者育成などスキルや人数、能力開発や学習機会の提供、社員一人あたりの生産性に関する報告。
・持続可能な働きやすい環境の整備ができているか?
労災発生率や休職率、健康経営への投資、コンプライアンス、従業員エンゲージメントに関する報告。
この流れは日本においても同様であり、2020年6月に東京証券取引所が上場企業の企業統治指針を改定し、「人的資本に関する情報開示」に関する内容を含むなど、更に加速しています。
これからの日本の雇用市場は転換期に
高度経済成長期のなごりである新卒一括採用、終身雇用、年功序列の崩壊が徐々に叫ばれ、健全な人材の流動性化、多様な人材が活躍できるダイバーシティ推進や副業・フリーランスなどの多様な働き方の実現など、中長期的な事業成長に向けた重要なアジェンダとなっています。
また、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の価値観を見つめ直すことに繋がり、テレワークの導入を始めとする働き方そのものにも変化をもたらしています。
昨今の欧米ではパンデミックをきっかけにした大退職時代(Great Resignation)が到来し、これまでにない規模での自主退職・転職をする労働者が増加しています。昨年から日本の大手企業が続々とジョブ型雇用へ転換するというニュースも話題となっています。
これらの時代変化から、企業が人を選ぶ立場から、企業が人に選ばれる立場へシフトしているといえるでしょう。これからの企業経営において、人的資本を重視し、競争優位性の源泉に繋げるために舵を切る企業が選ばれる立場になるという流れは必然となっていくと思われます。
「選ばれる企業」になるために必要なこと
人的資本の開示は、人的資本を重視した企業であることを社会全体に対して宣言することであり、働く社員に向けた人材マネジメントに対するコミットの側面もあります。つまり、人的資本の情報を国際基準に従って開示している企業とそうでない企業では、熾烈な人材獲得の競争や投資家からの評価に大きな差が生まれてきます。
そして、HRテクノロジーの発展により、「従業員を中心に考える」ための経営を後押しする様々なツールが登場し、人事領域のデジタル化が推進しやすくなっています。人事データの活用が大事・必要だとはわかっていても、対応が遅れる企業が大半な中で、今こそがその重要性を改めて認識し、仕組みづくりに着手する時だと考えます。
「人を生かして事をなす。」これまでのように内部だけの活用にとどまらず、社会にオープンに開示しながら人材マネジメントを推進していく企業こそが強い競争優位性を作っていくことでしょう。
(引用:株式会社壺中天 代表取締役 坪谷 邦生氏 SmartHR Mag.「【Next2021】人を生かして事をなす。人材マネジメントの理論と実践のツボ」)
さいごに
人的資本の開示とそれに関わる人材マネジメントの重要性について解説しました。
SmartHRでは、労務管理業務の効率化における様々な業務を行う中で、必要な人事データが自然と集まる仕組みがあります。また、これらのデータを組織人事の課題解決に活用して人材マネジメントを推進していくことができます。
2022年の始め、本記事が人事データの重要性と活用の仕組みづくりを考えるきっかけとなれば幸いです。
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