同僚の成功事例に勝る気付きはなし~研修後のフォローのあり方~
こんにちは、シンスターの曽我です。突然ですが、皆さんの会社では、研修後のフォローについて、何か取り組みをされていますか?
以前、「研修効果を最大化する研修後フォローの具体的事例」というレポートを掲載した際、大変多くの方にダウンロード頂きました。(現在も無料ダウンロードページに掲載されています)「研修はやりっぱなしになってはいけない」と思いながらも、時間、人、コストの問題等、、、なかなか研修後のフォローを適切に行うことは難しく、多くの企業の育成担当者の方が、課題の一つと感じているように思えます。
先日、ある企業の管理職層に対して「リーダーシップ研修」を行ったのですが、その後に行ったフォロー研修で起きたことが、とても素敵だったので、皆さんにご紹介したいと思います。
研修では、自分が職場の周囲のメンバーからどう見られているかを題材の一つとして扱ったのですが、受講者の一人に、部下の数名から「いつも忙しそうで、話しかけにくい」というフィードバックをもらった方がいました。本人は、自分の無意識の振る舞いを反省し、「これから部下の話に耳を傾ける」と研修の最後に今後の目標として宣言されました。
ただ、単に「部下の話に耳を傾ける」という宣言だけでは、壁に貼ってある標語と同じですので、より具体的な目標を立ててもらうよう促すと、その方は「部下4人に対して毎週30分ずつ、必ず面談を行う」という行動目標を立てました。
研修で学んだことやその時に立てた目標は、職場に戻ると多忙な職務に埋もれて忘れがちな方が多いのですが、その企業では、立てた目標の実践結果を後日全員で共有し、さらに必要があれば目標を立て直すという「フォロー研修」を行っています。なので、その方は、評価の結果がショックだったこともあり、フォロー研修までの3ヶ月間、毎週欠かさずに個別面談を続けました。
部下との個別面談を開始した当初は、話題のほとんどは直面している仕事の話が中心で、定期「報・連・相ミーティング」の時間になっていたようです。ですが、そのおかげで、お互いの業務進捗が定期的にレビューでき、まずは実務面で効果があったとのことです、それだけでもいいことですよね。
その後面談を続けていると、実務の話は今まで通りの会議や個別ミーティング等で話をしているため、あえて別枠で設けている面談では話題が尽きるようになってきます。毎回何の話しようか・・と苦労されていたようですが、目標を立てた以上は実行したい、でもさすがにネタ切れも起きてきて・・・と、次第に話題は雑談やプライベートの話に及んできたそうです。
そういった類の話は「飲みの席」でする方も多いと思いますが、この方はお酒が苦手で、あまりオフの活動はされてこなかったので、お互いを知り、距離を縮めるとても有意義な時間になったそうです。
さらに、部下とのコミュニケーションが良くなったことで、他のメンバーがここで苦労している、こんな心境でいるという情報が入りやすくなり、その情報のおかげでチーム全体がさらに見えるようになったそうです。そのため、以前より適切なタイミングで部下の仕事面・心理面のフォローができるようになり、チーム全体のコミュニケーションが活性化されたとか。しかも、本人が忙しくなって面談のセッティングが遅れると、部下の方から「今週はやらないんですか?」という話が出てくるほどになったそうです。
この方のように、「研修の気づきを仕事で活かす」、「やると決めた事をやり続ける」というのは、とても素晴らしいですよね。しかしながら、そういった研修で得た気付きを行動にまで落として計画を立て(ここまでは研修の中で、半ば強制的にすることも可能ですが)、立てた行動計画を職場に戻って自ら実行し続けられている人は、残念ながらそれほど多くありません。
そこでシンスターからもお奨めさせていただくのは、研修後に受講者同士が集まって実践結果を共有する場を持つ、という活動です。なにも研修会社などの外部に依頼しなくても、人事部門や事務局が中心となって社内のメンバーで運営・実施するだけでも十分効果はあります。
ちなみに、この企業では、ほとんどの研修において、研修実施後に一定期間をおいた上で、必ず「フォロー研修」を設定しています。内容は研修後の活動を振り返った上で、他の受講者に自分の行動のいい点、悪い点を共有して、お互いにアドバイスしあうといった大変シンプルな内容です。シンスターも企画・運営のアドバイスを行った後、当日もオブザーバーとして参加することもありますが、この企業では、基本的に事務局が中心となって運営されています。
研修後に実践結果を議論する場を持つことは、それに向けて行動を促す「重石」の位置付けもありますが、もう一方、実践した結果からの気づきを全員で共有して、さらに気づきを深めるというメリットがあります。「実際に行動を起こした方の成功事例」を本人から同僚へ語ってもらうだけで、とっても刺激になり、結果が身近な人から出ているだけに自らもやってみようという気持ちが起こりやすくなります(もちろん、苦労した話、そこで工夫した話もとても参考になります)。実際、この企業では、今回の個別面談を実施した話を聞いた他の受講者の方で、同じように部下とのコミュニケーションの取り方を再検討し、実践に移した方も数名いました。
我々外部講師が出来ることは、研修の場において気付きを得てもらい、具体的な実行の仕方を掴んでもらうことまでです。後は、本人が職場に戻ってどれだけ実践するかが、本当の研修の効果を決めます。実践してもらうのには、人事部門や事務局から、アナウンスし続ける、定期レポートを提出させると言った半強制的なやり方ももちろんありますが、今回の事例のように、実際の実践結果を報告・共有する場をもつ事だけでも、十分効果はあります。
研修のフォローは難しい、でもそれほど力や時間をかけずとも、できる効果的な方法はある、そう改めて思わせてくれる実例でした。研修後のフォローに関して悩まれているご担当者の方は、ぜひ一度試してみてください。
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『理屈だけでは現場は動かない』大企業とベンチャーでの豊富なビジネス経験をネタにした現場感あふれるセッションが好評
「巻き込み力研修のシンスター」にて、若手から管理職までのスキル研修・営業力強化研修の講師を担当。事業会社での実務経験を活かし、理論と組織力学を押さえたリアリティのある講義・ファシリテーションに定評がある。
曽我 充貴(ソガ ミツタカ) 株式会社シンスター シニア・マネジャー
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